至高のマシンと至福の時間


ABARTH1000TCR アバルトマニアなら誰もが唸り、そして遠目に眺める生粋のレーシングマシンだ。

似せた車両もあるなか、画像のTCRは紛れもなくリアルなアバルトである。

1000TCRは、カルロ・アバルトのDNAそのもの。

量産車をベースに極限までチューニングを施し、速さと強さを手中に納めている。

その奥にはアバルト1000ビアルベーロが佇む。

なんとも異次元空間なのだろうか。

60年代、数あるカーメーカーのチューナーがDOHC ツインカムエンジンを世に送り出してきた。
ロータス・アルファロメオ・フィアット・トヨタ・ニッサンetc. まさにカーメーカーの個性がバクハツする黄金時代であるのは周知のとおり。
見慣れたツインカムヘッドは、片側に多連装キャブ・片側にはタコ足と定番のレイアウトであった。
ところが、アバルトのツインカムはどうだろうか。
エンジン画像をご覧いただければ誰もが驚くレイアウトである。
量産エンジン(OHV)をベースにツインカム化する事で、側方にキャブレータを配置できなかったのだろうが、この様にする発想は素晴らしすぎる。

レーシングカーの1000SPも同様のレイアウトでありながら、RRとMRの差があり画像とは180度逆向きにエンジンが搭載されている。

そのためエンジンフードを開けると、ミッションが最後部に備わる。

この空間は、サソリの毒が充満している。
普段は見る事の出来ない究極のマシンが、本気で高標高地を駆け上がる姿を見ることが出来、ホンモノのサウンドに酔える。
「ヒルクライム」競技のパドックである。


現実的な話をすると夢が無くなるので、ここでは語らずにおくが、このパドックのマシンを金額に変換すると..
庶民には縁の無いマシンを間近で眺められ、そのサウンドや室内の計器を眺めるだけでタイムスリップと、自動車の歩みを同時に堪能する事が出来る。
なんとも贅沢な時間・空間なのだろう。

現代のフォーミュラやラリーカーの方が速いのは誰もが分かる話。
ここには黄金時代をアイデアで走り抜いた本当の職人魂が宿っていた。

なんとも刺激的な2日間を過ごせ、余韻で旨い酒がすすむものである。

いつの時代も、クルマへの情熱を注ぎ続けられ、常に本気で取り組み、本気で楽しむことを忘れていけないと、強く刻もう。
Written by Hashimoto