「速くする」だけがチューニングじゃない
NDロードスターにレデューサーを装着

「モアパワー」というチューニングとは、少し違う考え方。
NDロードスターは、ノーマルの状態でも十分に気持ちよく走るクルマだと思っています。
NAエンジンのチューニングでは「何かを足す」ではなく、既存の性能を効率よく引き出すかという考え方が重要になります。
今回施工するのは、クランクケース減圧バルブ「レデューサー」です。

定番化したパーツですね。
役割は「エンジン内部の圧力をコントロールする」こと。
エンジンの中には「抵抗」がある。
エンジンが回転しているとき、ピストンはシリンダーの中を高速で上下しています。
その一方で、クランクケース内部ではブローバイガスによる抵抗で内圧が変動します。
クランクケース内圧は、エンジンが生み出した力に対する一種の抵抗になります。
そこで、ブリーザー経路にレデューサーを組み込み、クランクケース内を効率よく減圧。
エンジン内部で発生する抵抗を抑え、ピストンやクランクシャフトがよりスムーズに動ける環境を作ります。
「エンジンをパワーアップさせる」というより、エンジンが本来持っている力を、よりロスなく使うためのチューニングです。

ロードスターのように、エンジンのレスポンスやアクセル操作に対するフィーリングを楽しむクルマでは、このような変化が面白いところ。
特にアクセルを戻したときのエンジンブレーキは、クルマの挙動にも関係します。
減速時のエンジン内部のポンピング抵抗を抑えることで、エンジンブレーキが穏やかになり、アクセルを戻したときの挙動がより滑らかになることが期待できます。
そしてアクセルを踏み直したときには、エンジンがスッと回転についてくる。
大きくパワーを上げるようなチューニングではありませんが、「なんとなく気持ちいい」その感覚を底上げするパーツと考えると分かりやすいでしょう。

レデューサーはブリーザーラインに組み込むパーツですが、重要なのは「どこに、どのように組み込むか」。
クランクケース内圧を効率よくコントロールするためには、エンジン側のブリーザー経路を確認し、適切な位置にセットする必要があります。


「速くする」より、「気持ちよくする」。
クルマのチューニングというと、最高出力や最大トルクの数字に目が向きがちです。
ロードスターのようなクルマでは、数字に表れにくい部分こそ重要であります。
アクセルを踏んだ瞬間の反応。
アクセルを戻したときの減速感。
シフトチェンジ後のエンジン回転のつながり。
そして、低回転からアクセルを開けた際のスムーズさ。
レデューサーは「運転していて気持ちいい」感性に直接働きかけるするデバイスです。


今回、お問い合わせをいただいたのは、10年ほど前にフィアット500でお世話になりました、古くからのお客様です。
時を経て、乗る車が変わり、弊社がNDロードスターを時折扱うことに着目され、久方ぶりのお問い合わせとご来店をいただきました。

当時から車を大切にされる方でした。
ロードスターを見て瞬時に「スタンスが変わっておらず車に情熱を注ぐ方だ」と察しました。

イタリア・フランス の車ではなけれど、NDロードスターには我々の感性にをくすぐる要素が満載です。
Written by Hashimoto