ブレーキキャリパのオーバーホール
テンサンラリーBENDIXキャリパー


106の作業がクラッチ関連からブレーキに移行しました。
永年の使用歴を経たブレーキキャリパを復活させます。
106s16には ATE 製のキャリパーが備わりますが、一世代前のラリーには BENDIX 製のキャリパーが装着されています。
形状的にはS16のリヤキャリパーに似た製品です。

スライドピンは微量な変形を起こしただけで、キャリパの動きがスムーズでは無くなる重要な個所です。
また、締め付けトルクについてもデリケートな管理が必要となる場所です。
S16がその昔、リヤブレーキの引きずりが起き易かったのは、トルク管理がうまく行かずにスライドピンに歪が生じる為です。
歪の生じたスライドピンは交換が必要となるわけですね。

ブレーキキャリパの分解・清掃・点検を行い、キャリパーシールを新調していきます。

汚れ具合の酷かったキャリパーですが、ウォータブラストにより素材感を活かした仕上がりとなりました。

途中で気付いたのが、ブレーキキャリパのエア抜き用のブリーダスクリュの状態です。
ここは、ボルト径が細くなおかつスチール素材です。相手のキャリパーはアルミ素材。錆などによる固着からのボルトの折損が懸念されます。

新品のブリーダプラグに付け替えて、組付けを行います。リヤキャリパのブリーダプラグが折れてしまっている106やクリオをよく見かけます。要注意ですね。

フローティング部分の動きがとてもスムーズになりました。
片側にのみピストンを備ええるキャリパですから、ピストンの無い側はフローティング機構によりパッドがディスク面に押し当てられます。


当初、パッドの固定方法と組付け方に誤りがあったので、パッド交換と合わせて修正しました。
ロックピンの装着位置が、本来は上側なのですが下側に取り付けられていました。
このパッド形状は、非対称な形状をしており、左の内側用と左の外側用と言った具合に識別があります。
ややこしい構造なのです。

Written by Hashimoto

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