言ってみればルーテシア3RSのエンジン性能の要か
車検整備でのお預りをさせて頂いている、ルーテシア3RSです。
タイミングベルトの作業が一段落し、今回のお客様の要望でもある「中回転からの盛り上がりに欠ける?気がする..」という案件について調べを進めています。
エンジン性能で言うところの、盛り上がりに欠ける気がするというのは様々な原因が考えられます。
今回の場合、エンジン不調やチェックランプ点灯を伴うという様なあからさまな不具合では無い為に、ルーテシアのエンジン制御系統の中から気になる点を
絞り込み点検を行います。
今回のベルト交換にあたり、気になったのがカムタイミングのズレでした。
ズレていると、本来の力は出せなくなるもの。ですが、そこまで大きな影響がある程度のズレではありません。
スパークプラグの消耗は、エンジン性能に直結しますが失火を感じる程の事は起きていませんでした。
症例からして、怪しいのはこの部分。
インテークバルブを開閉するタイミングを油圧によりコントロールするVVTソレノイドです。
VVTソレノイドは、エンジンの負荷により可変カムシャフトの稼働域をコントロールするバルブです。
ルーテシア3RSに搭載されているF4エンジンの旨味の特徴として、アクセル開度が多目の場合に4000回転辺りからカムシャフトが出力特性側にシフトし
高出力を得られる様に切り替わります。
ハイカムと呼ばれるチューニングパーツでは、カム本体を交換する事で作用角・リフト量・そこから得られるオーバーラップ角の増大を軸に出力特性に
変化を付けます。それに対しVVTコントロールは同じカムシャフトを使うため、作用角・リフト量は同じでありながらオーバーラップのみを変更します。
オーバーラップとは吸気と排気のカム双方が開いている事を意味し、吸気の閉じ終わりに既に排気バルブが開くこと。
高出力化を図る場合に必要とされるエンジンの条件です。
この作用が上手く働かないと、4000回転以上がもたつく。高回転まで回りはするものの、パンチが無い。と言う結果に結び付きます。
VVTの不具合についての主な原因は、私の知見ですが電圧により上下動するバルブのスティック状態・固着・これらが起因します。
スムーズにバルブが動けないことで、油圧が通過する事が出来ず、対象物を動かせない。
カムが可変したいのに、可変出来ない。事に繋がります。
金属摩耗も原因の一つですが、オイルスラッジもその原因に繋がります。
また、電圧制御ですから、電気の流れ・瞬発力も重要な作動条件となります。
(ちなみにEDLC BOX GAIN DRIVEは、ここに作用します。)
このバルブの交換により、今回の問題は解決に至りました。
スカッと高回転まで吹き上がるエンジンに復活しています。
亀裂の生じていたエンジンのロワマウントの交換も完了し、アクセルオン・オフ時のギクシャクも低減。
気持ち良く走れるマシンに復元できました。
引き続き、仕上げ作業を進めて行きます。
Written by Hashimoto