15万キロの疲労が明らかに!


フルリフレッシュ・現代の車をレストアとも言える作業を進めるアバルトの進捗です。

エンジンを新品へと換装し、大きな作業の山を越えアップグレード作業へと移りました。
今回は、アップグレード内容も非常に豊富。
サスペンションはハイスペックスタンダードダンパーとローダウンスプリングの組み合わせでセットアップを行います。
作業中に目に留まるのは、アッパーマウントの状態の悪さです。

走行距離は15万キロを目前とし、これまでの間未交換のアッパーマウント。
フローティングマウントでありますが、ダンパー軸の負荷を受け続ける構造でして、中央部が盛り上ってきているのがよく分かります。

↑15万キロ走行を経たアッパーマウントの状況
↓ダンパー交換・マウント交換を行った、新しいアッパーマウントの状況

組み換え直後のマウントは、窪みの分量が多い事が見て取れます。

このアングルが分かりやすいですね。

↑15万キロ走行のマウントからトップナットを見越す光景
↓新たなアッパーマウントからトップナットを見越す光景

ほぼ同じアングルから撮影するにも、トップナットの見え方が異なる事が分かるでしょうか。

マウントは、劣化するほどに窪みが減る。という事です。
窪みが減ると、トップナットの見える分量が増える。増えれば、車体への装着時に遊びが増える・保持力低下に繋がります。

アップグレードの効果・劣化の除去・すべてが吉と出る事をイメージし、完成形を思い描きながら作業を進めます。

過走行なんてなんのその。過走行だから何?という強気な発言を出来る。
そんなアバルトに仕立てて行きます。
おそらくですが、この手の作業は私の最も得意とする分野の作業であると自負しています。
永年に培った旧車との付き合い。その要素を現代の車にフィードバックし、やみくもな部品交換では無くひとつひとつの作業に魂を吹き込む。
そんな車造りを心がけています。

大昔にこんな言葉を先輩から吹き込まれました。
「部品交換士にはなるな!」
良い事を言って下さったな。と深く噛みしめています。
Written by Hashimoto

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