クラシックミニの整備
今回の重点は足廻り


新車よりお乗りのお客様のミニ1000は、12ヶ月点検でお預かりをしています。お預かりの際の会話で、既に31年が経過している事に時間流れの速さを思い知りました。ちなみに私の車は51年が経過していました..時の流れ恐るべし。

昨年の車検の際より、気になっていたサスペンション構造物の各部劣化。車検時には来年で良い!とバッサリ先送り決定でしたので、今年は必ず施工させて頂く思いでした。クラシックミニのサスペンション構造は、ミニ生誕時の1959年から基本は変わらず、生産終了までの間ずっと同じ形なのです。その中に細かな種類分けはあるのですが(ラバコンだったり、ハイドロサスだったり、フレームがボディに直付けだったりマウント介してたり)。でも基本は同じ。良くも悪くも旧い造りで、調整式の箇所もあったりします。

今では、国内の各ミニショップより良いパーツも沢山出ているので、今回は基本消耗品を一部メンテナンスフリーにしながら、悪い箇所を組替えました。

上下のボールジョイント・ハブベアリング・ロワアーム&テンションロッドブッシュ・タイロッドエンド・デフシール、こんな内容ですね。
構造はシンプルですので、ここまでしっかりと行っても現代の車ほど大きな出費に至らないのは素敵なことです。

大きなガタつきの発生していたタイロッドエンド。ミニのサスペンションは、本当に直ぐにガタが出ます。ダイレクトなフィーリングが魅力のクラシックミニですが足廻りに問題が発生し始めると、その魅力も半減です。遊びの無い機構故に、ガタつきによって生じる遊びはなんとも気持ち悪い物です。

カッチカチに硬化していたのは、ディファレンシャルのサイドシールです。結構な量のオイル漏れが発生していました。


ドライブシャフトを抜き、シールを外すとタラ~っと滴り始めます。しかもずっと流れています。つまりシールが硬化すると、ずっと微量に漏れ続けるわけです。シールを交換したからと言ってもカンペキに漏れないという高い次元には到達しませんが、交換はしておきたいです。

テンションロッドやロワアームには、高い耐久性と、適度な柔らかさを保持するブッシュをチョイスします。

何度調整してもガタの出るボールジョイントは、現代の非調整式ボールジョイントに変更します。

シム調整式が本来の形ですが、懐古的構造なのでガタを止めると動きが硬くなったりします。その点、このボールジョイントはハンドリングが非常に良くなり、なおかつロングライフで優れ物です。

取り外した部品は、全てトレント洗浄機で汚れを洗い飛ばし、簡単ではありますが簡易塗装を行い、リフレッシュします。

旧い車ではありますが、メンテナンス次第で新車時よりも元気に走り回ることも可能です。
車も整備も色々な種類はありますが、基本的なことを基本に忠実に行う事が大切だなと思います。

Written by Hashimoto

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