15インチにオリジナルサスの組付け
乗り味最高です


フィアット500S に当社のオリジナルサスペンションキットの組付けご依頼をいただきました。アバルトとは異なり、ホイールサイズが小さいです。見た目の迫力では17インチには敵いませんが、15インチの特権はなんと言っても包容力のあるタイヤが生み出す上質な乗り味です。画像は交換前の状態で、スタッドレスを装着しています。今回は純正ホイールにタイヤを新調しますので、作業後はミシュランのPS3に変更となります。

現在は、ビルシュタインのB14が装着済となり、落ち着かない乗り心地に不満を抱かれ今回の作業となりました。
お客様が気にされているのは、リヤの車高の高さです。フロントは低く、リヤは高い。。スプリングレートが適性で無いとこうなります。

今回は、ロワアームの交換も併せてのご依頼ですので、ショックアブソーバの交換ですがフロントバンパーも取り外します。

今回の組替え対象物を取り外します。結構な量の錆びが存在していまして、外すのに少し苦労しました。


ストラット・トップボルトは強固に錆びており、ロワアームボールジョイントも同様です。こういう所が錆びているのと、錆びていないのでは作業速度が大きく変ります。既に錆びてしまっている場合は、頑張って外します。その後の組付け時は、残った錆をしっかりと除去した後に防錆処理も行って組付けます。なので、ウチで組替えた部品達は2度目の分解時に差が出ます。
作業の中で大切なのは、そういう要素だと思ってます。部品交換して、ハイ!完成!って、結果的には似ていても一手間を惜しまない事、慌ただしい時もラクするのは禁物です。

取り外したロワアームから、旧いブッシュを抜き取ります。今回の車両はツインエアーですので、ブッシュの状態は前回同様のタイプが装着されています。ロワアームブッシュを抜き取った後のロワアームの穴内部には錆や汚れが沢山残っています。このままSessAロワアームブッシュを組付けると、アルミカラーがスムーズに挿入する事が出来ません。

なので、ハンドリュータにラッピングペーパーを装着し、ある程度の汚れを除去します。

金属特有の鈍い光を放つ状態に戻すことができました。

ここに、SessAロワアームブッシュを組付けていきます。この当社オリジナルのロワアームブッシュですが、最近は多方面へと通販の形で出荷する機会が増えました。最初の頃は自分達が満足できれば、と思いながら製作し使用したのですが、時が経ちこういう物の良さが皆様に浸透してきたのだと実感しています。組んだからと言って見た目が変ったり、パワーが上がる分かり易い要素はないですからね、なかなか光を浴びない部品です。

アルミカラーとロワアームの間に見える茶色いのは、錆では無くカッパースプレーの痕跡です。組付け時にスムーズな組付けが可能になります。

そして、今回取り付けるSessAオリジナルサスペンションです。既に随分と装着車両が増えて来ました。当社のコンプリートカーR595にも装着済の製品です。今回はストラットアッパーにはスフェリカル N1を組み合わせます。

SessAホイールスペーサも同時に組付けます。純正ホイールを丁度良いインセットに調整する為に製作したスペーサです。フィアット500専用サイズですので、センターボア・ピッチ共に精度が高く、装着後にホイール取付精度が下がりブレるという心配は皆無です。フロントには11.5mmを、リヤには16mmを装着します。


車高前後バランスとしてはこんな感じに設定しました。この後、試運転を行いサスの馴染みを出してから、微調整を行います。サスペンションの作業を行う際に、入庫時のガソリン残量は意外に重要な項目でして、満タンの時とそうで無い時では車高の最終値を変化させなければなりません。ガソリンが少ししか入っていない状態で、カッコイイ見た目の車高に仕上げると、その後満タン給油時には極単に車高が下がってしまいます。細かい事ですが、重要な事です。
ですので、できればお預かりの際の燃料の残量は2/3以上は入れておいていただけると作業性が良くなります。これはアシに関する場合に限らず、整備中に燃料切れランプが点灯すると給油しなくてはいけませんので、その他の作業でのご入庫時も同じ事が言えます。


今回は燃料は満タンでしたので、もう少しリヤの車高を下げようかと考えています。
テールサイレンサーの出口部の加工もご依頼をいただいています。ノーマルバンパーであれば、問題の無い仕上がりだと思いますが500Sの専用バンパーですので、2本出し出口がバンパーリセスに合っておらず、少し不自然です。出口も少し引っ込んだ状態ですので、加工作業で格好良くしてみます。

乗り味の良さは、すこぶる良いです。15インチに新品タイヤの気持ち良さは格別です。タイヤの包容力とサスのバランスが非常に良い仕上がりです。

Written by Hashimoto

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