アルファロメオ・ミト オイル漏れの2次被害
タイミングベルト交換も合わせて施工


ビルシュタインB14+スフェリカルアッパーの作業を終えた アルファロメオ・ミトは、作業の拾い出しの際に気になっていたオイル漏れ被害からのウォータホース劣化改善を行います。

走行距離は3万キロ台ですが、年数経過から考慮してのタイミングベルトの交換も行います。
ベルト背面のひび割れは多くありませんが、虎目柄が浮き出ておりベルト劣化も気になる状況になっていました。


ウォータポンプの取付部(フランジ)は残留ガスケットを綺麗に除去するため、スタッドボルトを抜き取ります。

クーラントの入れ替えを行いますので、この際に冷却系統の各部メンテナンスも同時進行です。
サーモスタットは、アバルトと同形式。樹脂破損の懸念されるカプラコネクタも交換します。


樹脂部品を多用するのは現代車の流れですね。
フランス・ドイツに比べると、イタリア車の各部樹脂化は比較的少なく、作業性・耐久性の面では優れていると何時も思います。

画像中央に位置するのは、ラジエターのロワホースです。タービン付近からのオイル漏れにより、ゴムホースにオイルが滴りその結果ゴム素材が負けてしまい、軟化していることが分かりました。ウォーターホースは、ラジエタキャップにより加圧され1.4Bar程まで圧力が高められます。沸点を上げる事が狙いですね。
軟化したホースは、高圧時の耐圧性能が低下し膨れ上がるので破裂の危険性が高まります。

右側に置いたホースは、オイルが長時間付着した物です。
ホースバンドにより締め付けられていた箇所はクッキリとその痕跡を残し、その前後の個所は肥大化していることが確認できます。

指先で力を掛けると、いとも簡単に潰れます。ぶよぶよとした感触に変化するのですね。危険です。
今回のお預かりで気づくことが出来て良かったです。
画像の残し忘れですが、この傍に位置するもう一つのウォータホースも同様に劣化の確認が出来たので追加で交換を行っています。

タイミングベルトの組み付け仕上げには、アドバンス・クランクプーリの組み付けも行いました。

アドバンス・クランクプーリとは、アルミ素材による軽量化に加えて、エンジンECU内で制御されている「点火タイミング」に働きかける要素を備えています。
これにより、点火タイミングを3度の範囲内で変化を付ける事が可能です。
最も左側にセットした場合はノーマルに準じており、最も右側にセットした際には3度進角という事になります。
これは、古くからのエンジンに使われていたディストリビュータを回す事と同じでして、現代の内燃機関においても可能な点火チューニングです。

今回のミトには、サブコンピュータによるブーストアップが施工済みである為、進角度数は1.5度としました。
過去にマルチエアーエンジンでの使用の際に3度進角でエラー介入を確認済みの為、マージンを設けたセット値としました。


クーラントのタンクも交換し、水回りの不安解消です。
真夏前のメンテナンスを行う事が出来て、安心の環境をご用意する事が出来ました。

Written by Hashimoto

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