アルファミトにスフェリカルアッパーの組み付け BILSTEIN B14+スフェリカル+スラストベアリング

スフェリカルアッパー組み付けの勢いが止まりません!
開発も止まりません!
スフェリカルを始めてから、足回りに変更についてのご相談件数が非常に増え、嬉しい限りであると共に
皆様の関心度の高さに驚いています。ありがとうございます。

普段の作業量に加えて、スフェリカルを含む足回りの作業の入庫が多い為、なかなかそれについての
工場通信アップが出来ない状況が続いています。
過去に行った車輌も少しづつアップしていきたいと思います。

今回のスフェリカルアッパー組み付け車輌は アルファロメオ ミトQVです。
すでにBILSTEIN B14 車高調整式サスペンションが装着済みですが、そういう車にこそ効果絶大である
のがこのスフェリカルアッパーです。
ミト用は既にリリースされています。詳細は過去の記事をご覧下さい→スフェリカルアッパーMITO・G.PUNTO

 

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18インチProdriveGC05N そしてフルエアロ 華麗なスタイルアップを果たしていますね。
抑えるポイントにしっかりと手の入った1台です。

作業前のサスペンションテストで、それぞれのダンパーに異常が発生していないかをチェックします。
サスペンションのバージョンアップを考えた時に、現状のパーツの状態がしっかりと判断出来ると言うのは
私達にとってもお客様にとっても非常に安心感の高まるテストだと思います。

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テストの結果に異常は見当たりません。
前後左右ともにしっかりと機能している事が確認できました。

フロントストラットを分解し、組み付けを行うのですが、最近はこんな加工作業も組み込んでいます。
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既製品のサスペンションは、設計上の問題がある場合が多い事が最近のデータ蓄積により見えてきました。
今回行っている加工作業は、旋盤によりダンパーのトップボルトをショート加工するという内容です。

なぜこの様な作業が必要か?についてご説明します。
車高調整式サスペンションを装着される方の多くは、低く身構えたローダウンフォルムを実現したいという理由になると思います。
しかしながら、理想の車高にする事により ダンパーの底付き現象が発生する事があります。
特に、フィアット&アルファロメオの場合に多いです。
これは、ダンパーの有効ストローク外の部分で、ショックアブーバが作動する為に発するのですが、実際に体験すると
結構な痛い衝撃が車体に伝わってきます。

これを回避すべく、ダンパー上部を希望の寸法分削り詰めていく事で、結果ダンパーのストローク量下限値を増やせるのです。
そうする事でいままでは1~10のストローク量であったところを 1~12 位のレベルで作動範囲を増やす事が可能になります。

ミトの場合は、スフェリカルを装着するからと言って、この作業が必要という事もありませんが、この機会に手を加えておくと
今後の走行に際しての安心感が高まります。

実際に加工を施したダンパーのトップボルトはこの様な感じになります。
short
スフェリカルアッパー装着時に、底付きしてしまうと、ラバー素材による緩和性が無くなる為
通常以上に痛い結果となってしまいます。
ですから、事前にこの辺りについてもしっかりとした対策を行い、組み付けを行います。

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ダンパーを加工後、ストラットケースに組み付けし、スフェリカルアッパーをセットします。
今回は、ローフリクションスラストベアリングを同時に組み付けますので、ステアリング操作時のスムーズさを
損なうことなく高剛性なドライブフィールを味わえる仕上がりになるでしょう。

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車輌への取り付け後は、オプションの防水カバーを取り付けます。
なのでかっこいい製品は残念ながら見えなくなります。
カバーは、トップナットにはめ込んでいるだけですので、外して確認して頂く事も可能です。

組み付け後は、4輪トータルアライメントで調整を行いましょう。
ストラットの分解を伴い、更にスフェリカル効果によるストラット位置の確実な固定によりこれまでのアライメントデータ
とは大きく異なってきます。
その為、組み付け後のアライメントデータは見ての通り真っ赤な実測値に変貌しています。
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リヤ側トー値の左右差も補正し、スラストアングルも良い数値が出ました。
FF車の場合、リヤ側のトー・キャンバーは調整機構を備えない場合が多いですが、当社ではここも独自の手法で補正します。

作業後のサスペンションテストです。
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作業前と比較すると、フロントの路面粘着率の特性がまるで別物になっています。
これが何を意味するか?
この路面粘着率の向上こそが、スフェリカル化による最大のメリットとも言えます。
純正のラバーマウントの場合、ハードな足回りを装着する事により、急速にラバーのヘタリが進行します。
そうなると、取り付け部に浮き上がりによる遊びが発生し、サスペンションストロークとは別に余分な
上下動を発する事になります。
余分な上下動は、結果としてタイヤが路面から離れてしまいますので、路面粘着率が低下してしまうのです。
特に、ハイスピード走行中や、コーナリング中にその現象は発生しやすく、不快な乗り心地や、思い通りではない
コーナリングラインを描いてしまいます。

作業前・作業後のサスペンションテストレポートを編集により重ねてみました。
1+1
まるで違うグラフですね。
ショックアブソーバを換えたわけでもないのにこの差!凄い事なんですよ。これって。
乗らなくても分かってしまうこの差は、乗ればもっと分かります!
とにかくコーナーが楽しい☆そんな車に仕上がります。
低速でのコーナリングも、実にクイックで、思うように曲がります。
そして、大きなアールを描くハイスピードコーナーはまだまだアクセルを開けれる、そんな印象になります。

面白い相乗効果として、ブレーキ性能も向上します。
これは、ストラットにブレがなくなる為、車体のノーズダイブをしっかりと抑制するからです。
ハードブレーキング時のステアリングに伝わる挙動不振な怖さが拭えます。
また、ペダル踏力に対する制動が素直になる手応えは、ステンレスホースによる恩恵にも似た所を感じます。

スフェリカルアッパー良いですよ~!

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