フィアット500用 スペシャルセッティング・ビルシュタイン 仕上がりました☆

前回お届けした ビルシュタインのリセッティング作業が完了しました。
まず、今回のご依頼主様のチンクを紹介。
FIAT500 限定モデルのbyDIESELです。
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BILSTEIN B14+205/40-17 フルエアロ&カスタム多数な、粋なチンクです。

このチンクのサスペンションを今回はリファインします。
今回のテーマはずばり、このルックスで快適に走れ、粘り・乗り心地の良い足回りに!です。
テーマとしてはかなり難易度が高いです。
チンクの足回りで、そういう方向性について本気で考えた事は未だありません。

求める結果が明確になれば、次は現状のセッティング状態や、走行中の不具合点について考えます。
まず、現状の問題点は今の車高に設定する為に、スプリングにテンションがかかった状態で組まれている点です。
求める車高に近づけるにあたり、スプリングには自然な状態で組付ける事がベストですので、現状は理想的とはいえません。

今回は、スフェリカルアッパーの組み付けに加え、スプリングも交換します。
前後ダンパーの減衰特性にも変化を付けます。
それら全てを、17インチホイールを装着したチンク、ガチガチの硬い足回りではなく、フワフワの柔らかい
足回りでもなく、中間の丁度良い所を狙います。
このちょうど良いトコってのが非常に難しいのですよ。
こんな内容を形にしたのが、前回の記事 FIAT500車高調整式サスペンションをリセッティングです。

初の試みともなるチャレンジングな内容です。
しっとりと粘るアシになるのでしょうか?
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ちょっと記事が長くなってきましたので、組み付け画像は割愛し、組み付け後より再開します。
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ご覧の通り、ストラットタワーバー装着車輌へもスフェリカルアッパーの装着は可能です。
タワーバーの凝結方法が、本来はボルト+ナットで固定されているのに対して、スフェリカルアッパーを
装着すると、タワーバーの固定ボルトがアッパーマントへ直接締めこむ事が可能になる為、強度的な意味でも
向上するという嬉しい内容もついてきます。

組み付け後の車高については、組み付け前のデータと同じにしました。
スプリング自由長の長い物を使用し、サスペンションストロークを確保したにも関わらず、低めな車高をキープ
できるという魔法の様なセッティングです。
更に言うと、今回のスフェリカルアッパーはマウント位置が下方へ移動する為、通常ならば車高が
上がる所なのですけどね。
こういった問題があるので、スフェリカルアッパーについては通信販売を行っていないという事です。
ご了承下さい。
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組み付け前・後のサスペンションテストデータを重ねてみました。
もともとのアッパーマウントの状態がさほど悪くなかったという事もありますが、フロントのカーブラインは
そこまで変化がありません。
リヤ側の変化は大きいです。


KAMEIMODEL

今回のビルシュタインダンパーの仕様について、SDLのグラフだけでは乗り心地の違いが伝わらないのが残念です。
いつもは、フロントにスフェリカルアッパーを組み付け、フロントから伝わる接地感向上による乗り味の変化に驚くのですが
今回はそれもさることながら、リヤの安定感に驚かされました。
前後共に減衰特性を変えているのですが、リヤに関して言えば、縮み側を固め・伸び側を緩めと、手探り状態で
行った仕様変更ではありますが、かなり良い所に行き着いたと思います。

ドタッ・ガツッ と感じやすいチンクの乗り心地を、トンッ・ストン とマイルドでおさまりの良く、なおかつ柔らかくは無い
理想的な乗り心地とも言えるでしょう。
ワインディングでの多少荒れた路面でも神経質にならず、走る事が出来そうですから、オールマイティに使えそうです。

17インチ装着を念頭に用意したセッティングですが、同じセッティングで16インチの場合だとコンフォート+スポーティ
な真面目な乗り味を再現できそうです。

ちなみに、アライメントデータは、こんな感じに。
まずは、以前のアライメントデータです。
最終アライメント

そして、足回り分解・組み付け直後のデータです。
組み付け直後アライメント

最後に今回の調整を終えた最終データです。
前回アライメント

今回の調整値のポイントは、スフェリカルアッパーC-2によるキャンバー角度・キャスタ角度の増加です。
フロントキャンバーは、2°30′ほどついていますが、これはお客様からのリクエストがあった為、普段よりも増やしました。
キャスタは、C-2を組付ける事によりノーマル比プラス1°程増やす事が可能です。

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