C5ツアラー はサスペンション関連の整備


右フロントストラットからのオイル漏れ修理と並行し、周辺の消耗箇所を組み換える作業を開始しました。
C5にはシトロエンらしく、ハイドラスティックサスペンションが備わる為、ダンパー形状は通常のショックアブソーバとは異なります。

油圧経路は、電子制御式の油圧システムとなる為、ベルトドライブ式ハイドロサスの頃の事を思うとトラブルが少なく、安心して乗れるシトロエンとでも言いましょうか。
おかしな表現ですが、そう感じます。

必要箇所を分解するのですが、サスペンション構造は複雑でして、慣れるには数回の作業が必要になりそうです。
思えば、ルーテシア3RSもそうでした。最初は何という作業性の悪い足回り。。と思いましたが、今となってはスムーズに作業を行えます。

ルーテシアと構成は異なりますが、こちらもダブルアクスルストラットである為、ステアリングの操作時にショックアブソーバは連動して動かない構造です。
キャスター変化がつかない構造ですので、フロントヘビーな車ですが、ステアリングフィールにその重さが介入せず、自然な操舵感を味わえます。


アクスル全体を取り外し、本当はドライブシャフトも取り外したかったのです。
中間保持部のベアリング・ハウジングで固着している様で今回は抜き取りを断念しました。

オイル漏れの痕跡が明らかな、右のフロントダンパーです。

ルーテシア3RSでの定番交換部位でもある、ナックルのジョイントベアリングを交換します。
この部分はカーメーカーが変わっても、どうしても悪くなり易い箇所です。シール気密がイマイチで水が入り易く、グリス給油が出来ない構造の為にベアリングの劣化が進行します。
隙間から除くベアリングは、錆の交じった状態になっていました。

ベアリングのインナーレースを抜き取るのですが、勘合を緩める為に熱を掛ける必要があり、ハブベアリングの交換も必要となりました。

ハブベアリングの組み換えには、油圧プレスを使用します。
組み換えの際は、ベアリングサイズに合わせたアダプタと、社内製作のプレス治具によりスムーズな組み換えが行えました。

右側は、アルミのナックルキャリアを取り外していましたので、ウォータブラスト処理にて凝着汚れをある程度までは除去できました。
素材や仕上げにより、クリーニングの仕上がりに差が出ると言う事もようやく理解出来てきました。


各部を組付けた後は、LDSフルードの給油とエア抜き作業を行います。
サスペンションを分解する前に、減圧作業を診断テスタを通じて行っています。減圧を行わずに、油圧経路を切り離すともの凄い勢いでフルードが飛び散るはずです。

この後は、各部分解後の4輪アライメントにて仕上げ作業を行います。
Written by Hashimoto

関連記事