レートアップ・ダンパー仕様変更など
FIAT500-1.4 サスペンションやり込み中


予防整備意識の高いお客様より、現状特別な問題は無いのですが、足廻りのオーバーホールのご依頼を頂きました。
いつも前もって整備をご予定されていまして、ご相談とご予約についても何ヶ月も前から頂けるお客様です。
施行する側としては、ご相談時期が早いというのはとてもありがたい事でして、取り組む前に方向性やプランについてじっくりと考える事が出来るというメリットがあります。
また、今回の様にダンパーのオーバーホールを行う場合、依頼先のエナペタルさんへ事前に予約をしておけるというのも段取り上スムーズに進行できるポイントです。

お預かりしたその日にサスペンションを取り外し、全分解~清掃・エナペタルさんへ発送を行いました。
今回の施工内容は、私に完全お任せコースとしてご依頼を頂きましたので、試運転を行い感じる事を対策しつつ、より一層ハードな走りにも追従できる仕上がりを目指します。

スフェリカルアッパーはタイプC2を使用中。
C2とは、ネガティブキャンバー角とキャスタ角を増加するタイプです。
それ故の構造上、ボディ側ストラットハウジングの下にアッパマウントを設置します。
その為、ショックアブソーバはN1仕様と比べると短くなります。
当社のオリジナル車高調は、スフェリカルアッパーのN1を組む場合と、C2を組む場合とでは使用する部品を変更しています。

C2仕様のダンパー、これまでは4キロのスプリング を使用してきました。
特性は低反発。これはこれで良かったのですが、悪路走行の際の不意な過大入力時にダンパーストローク限界を超える時がある事が気になりました。
お客様は、私が思う以上にハードな走りをされる時がある様でして..。どの程度かは詳しくは分かりませんが、なんとなくのイメージでもう少しハードセッティングに振ってみようという事になりました。

レートアップは必須なのですが、問題はレートアップ=車高が上がるという事。
車高については結構な低さを好まれていますので、車高が上がってしまう事は避けたいです。

これまで使用してきたスプリングとは異なる長さを選択。
レートアップしたスプリングに合わせて、ダンパーの減衰を変更。
車高の変化が出ないように、ダンパーの全長を変更。
結構な変化を付けて、仕立て直しました。

リヤスプリングは、初期の頃と現行品とでは、製品が少し異なります。
巻き数・線径・特性が異なります。
折角なので、これを機に現行品に変更します。

リヤダンパーもオーバーホールと仕様変更を行いました。

仕上がり車高は、寸分変らぬ数値を実現。


途中にハプニングが発生していまして。
入庫時にタイヤ交換の追加を頂いていました。

ミシュラン・パイロットスポーツ5 に変更。これまではPS4を使用されていました。
納期はまだ先だけれども、先にタイヤは交換しておこう。という工場の段取りを整えまして、バランス調整を行っていたところ、曲がりが発覚します。

即効お客様に報告!納期にはまだ余裕があるから、リペアの段取りを大急ぎで組むこととなり、とても多忙なリペア屋さんに頼み込みました。
短期間で仕上げて頂き、納車予定日の1週間前に全てを整えて、仕上げる事に成功しました。

味付けを変化したサスペンションは、キリッと引き締まり、素早いステアリングレスポンスを実現。
これまでよりもハードな乗り心地にはなっていますが、不快ではなく包容力のある仕上がりとなりました。
どんな印象を感じて頂けるのか、とても楽しみです。
Written by Hashimoto

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