テンサンラリー のサスペンションリファイン1台目
今回は珍しくもテンサンラリー2台がほぼ同じ内容で入庫しています。
1台目はご新規様のお車です。
2台目は新車から弊社での整備をお任せ頂いているお車です。
入庫のタイミングとパーツの揃うタイミングにより、ご新規様のラリーから整備をスタートしています。
走行距離は10万キロ台半ばです。
これまでにショックアブソーバをはじめ、そこに付随する内容は未着手の様ですので今回の整備を機に一斉に組み替えを行い、リフィアンを図ります。
整備開始前の点検段階において、ロワアームのブッシュ及びボールジョイントの劣化が進んでいる事を確認しました。
凝結を外したロワアームの状態が非常に悪かったです。
その状態がこちら。
ロワアームブッシュのリヤ側が、軸部とブッシュが完全に分離している様子です。
ブッシュとアームの軸部は一体化されている為、本来は画像のような角度にはなりません。
力を掛けると、反発力が生まれる為ある一定の角度を維持します。
ハブキャリアが一体式構造のマクファーソンストラッットは、ショックアブソーバの交換のみであってもハブキャリアとセットで取り外します。
なので、通常のショックアブソーバ交換よりも分解点数が多いのが難点です。
ブレーキも、ドライブシャフトも取り外す必要がある構造です。
アッパーマウントとスプリングを取り外し、カートリッジ式のダンパーを取り出します。
ダンパーは完全に機能を失っていました。
スコンっと縮み、伸びてきません。
ここまで分解しなければ、本当のところが分からない事があります。
ハブベアリングの状態です。
車輌側に組付けた状態では、ドライブシャフトとブレーキの抵抗がありベアリングの摺動を確認する事ができません。
単体なった状態でドライブフランジを手の力で回転させると。
手のスナップで回しただけで、僅かな回転力にも関わらず「シャー」っと無抵抗回転である事が分かりました。
お客様にご連絡し、部品組み替えの追加についてご説明をさせて頂きました。
フロント回りの主たる部位をリファインし、どの様に生まれ変わったか、試運転を行うのが楽しみです。
S16の先代に位置するテンサンラリーの持つ魅力は、とても深いものです。
排気量こそ小さいものの、専用設計されたエンジンのスペックは計り知れません。
軽さを武器にすべく、シリンダブロックはアルミ製であることもマニア心をくすぐるポイント。
早く走らせるには、高回転を維持しながら走るという一癖あるテンサンラリー。
ひとたび走らせれば、その魅力に取り付かれる1台です。
Written by Hashimoto