メガーヌ4RS ウルティム EDLCとアライメントによる調律
プジョー208XYからメガーヌ・ウルティムに乗り換えられたお客様より、アップデートについてのご相談を頂きました。
アップデート・アップグレードは、足りないところを補う事を意味します。
しかしながらメガーヌ・ウルティム 高性能すぎて私には足りないところを探る事が難しいのです。
とは言え、お客様は更なる上質を志しておられますので期待に応えさせて戴くべく最善を尽くします。
EDLCによる電圧・電流のアシストを期待し、GAIN DRIVE のセットアップをご依頼頂きました。
実装着に至る前に、試着・試乗を行って頂き、今回のご依頼に至りました。
4輪トータルアライメントを実施。
施工前にはサスペンションテストを施工し、現状把握を行います。
アライメント作業を開始。
測定開始~調整の前に、ワンクッション行程を挟みます。
各ブッシュに及ぶストレスを、1G状態(4輪が車重を受け接地した状態)でフリーにします。
1Gで緩める・締める。この工程を挟む事で、殆どの車はアライメント数値に変化を見せます。
左右差が拡がったり、基準値が基準外になったり。と、その様子は様々であります。
ストレス抜きを施した後に、各部の調整値を整えて行きます。
基準値内に納めるべき場合と、基準値では無く自社独自の調整値に合わせる場合と、ケースバイケースに進めて行きます。
ブッシュにかかる余分な力を抜き、その後に調整を行う事でアーム類がゼロ位置から動き始める事が可能になります。
それにより、突っ張った印象を解き、スムーズな動きを実現します。
アライメントの施工後に、サスペンションテストを行うとリヤのサイドスリップ値に変化が出ました。
転がり抵抗を緩和させ、自然と転がり無理なく曲がる。そんなイメージに整います。
メガーヌ4RSの場合、後輪操舵機能を持つためアライメントの数値に問わず無理の無い旋回性能を持つことが特徴です。
しかしながら、ニュートラル状態に整える事でその性能は更に磨きがかかる。と言えます。
ルノースポールの得意とする、市販モデルの中では群を抜く拘ったサスペンション構造。
ダブルアクスルストラットは、ここにも健在です。
ルーテシア3RS・メガーヌ3RSの構造を引き継いでいる事がよく分かります。
各部のボルト締め付け力が若干弱いため、全体的に増し締めチェックを行う事も大切です。
今回も微妙に緩めである事が明らかになりました。
上記のアライメント数値を見ると、驚かされるのがキャスター角度の大きさです。
キャスターは、FFのストラット式の場合は付け過ぎが厳禁であります。
理由は、旋回時にストラットが同時に回転するからです。
そうすると、ストラットは不自然な角度を強いられ、キャンバー変化を伴う為に通常はNGとされます。
(イメージで伝えるならば、内股で走る?そんな感じです)
増加したい場合、純正比1度ほどでしょうか。
直進性能は高まりますが、旋回性能にはデメリットが生じます。
ダブルアクスルストラットの場合、その犠牲をほぼ無かった事にクリアします。
なので、FFでありながら強烈なキャスタアングルの共存が実現するのですね。
サスペンションは奥ゆかしい。いつも思います。
「メーカーは、間違った事を行わない」
そのことを良く理解し、改善の期待を持てる箇所は手直しを行う事が重要です。
Written by Hashimoto