ジュリアGTV エンジン点火系統の整備

納車前の整備が大詰めになってきました。

先日のコーティング作業を終え、フロントグリルやバンパも装着し、シャキッとしました。
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バンパーレスになったジュリアが多いですが、普通に乗るなら絶対にバンパーは
装着したいところです。
...と、先月40代に頭を突っ込んだ私は、バンパー有りが格好良いと思うようになりました。
昔ならバンパーレス・カフェレーサが大好きだったんですけどね。
(高校生の頃父親のMG-Bのメッキバンパーを勝手に外していた事を思い出しました(笑))
男前スタンダードの魅力、やはり良いです。

さて、今回はエンジン系統の要、点火回りを点検し、調整などを行います。
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プラグコードの抵抗値を測定する事から始めました。
失火やミスファイアはないので、よほど心配はないのですが、基本に忠実に進めます。

現在装着されているスパークプラグの状態チェックも大切です。
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スパークプラグ単体診断にはスパークプラグテスタを用います。
エアー圧縮による加圧室内で、火花を飛ばします。
こうすることで、加圧状態におけるプラグの着火性能を診断できます。

判断基準としては、高圧時に失火をしないか、中心電極以外で火花がリークしていないか
などを見ていきます。

かなりピンボケしていますが、ごめんなさい。超接写しています。
これは、スパークプラグにくすぶりが発している際の火花です。
線香花火の様な色の火花が、中心ではなく碍子部で漏れるようにスパークしています。
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こちらは、正常点火のスパークです。
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その差歴然の色の差です。
青白い火花は、昔から理想的とされています。

続いて、点火タイミングを点検します。
車両に刻まれた上死点マークが正しいのか?どのマークが上死点なのか?を、
まずはっきりとさせる為に、プラグホールにゲージを取り付けます。
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1番シリンダのピストントップを検出し、その際に合いマークがどこを
示すのかを確認します。
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合いマークを位置を特定出来たら、BOSCHエンジンアナライザのタイミングライト
を使って、現在のアイドリング時点火タイミングを計測します。
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アナライザのタイミングライトは、現在のタイミングが何度なのかを数値で表示
できる為、正しいタイミング測定と調整が可能です。
今回は、アイドリング時(回転数は少し高いですが) 上死点前 7.5度でした。
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この後、エンジンを回転上昇負荷状態で、タイミング進角を計測します。
勢いよくアクセルを開けた際や、ジワーっと回転を上げ続けたときなど、
タイミングは常に変化しますので、適正な進角具合かをチェックします。

進角についても、アナライザで数値化可能ですので、最大進角数が何度かを確認可能です。
さすがにその時の写真は撮れません。

キャブレタのジェットチェックや、フロートレベルの点検を行い、ようやくキャブレタの調整に着手します。

いきなりキャブ調ではありません。
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キャブの調整時にも、アナライザの機能は役立ちます。
この車の場合、WEBER DCOE が2基備わりますので、いわゆる4連スロットルです。
それぞれのキャブレタのアイドリング時の仕事量がどうなのか?
左右のキャブのバランスは良いのか?
を、点検するためにシリンダバランス測定機能を起動します。
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バランス機能を起動させると、アナライザ内部で、各シリンダへの点火を1気筒づつ、
ミスファイアさせていきます。
それにより、1気筒あたりの回転落ち込み量を測定し、仕事量に置き換えます。

すべてのシリンダの計測が終わると、数値化されて確認できる様になります。
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1・2・3・4と測定結果の値です。
これはテスト順序である為、実際のシリンダ番号ではありません。
これをエンジンの点火順序に置き換えます。

1-3-4-2の順番で火が飛びますので、測定結果は以下の様になります。
1番シリンダ:4.8%
3番シリンダ:23.8%
4番シリンダ:5.1%
2番シリンダ:24.9%

キャブレタ調整値はバラバラです。

テスタも大切ですが、テスタはあくまで参考データです。
つないでいても、調整までは行ってくれません。
ここに、メカニックの勘やノウハウで調整を進めて行くのです。

車検完成まであと少し、お客様への納車もあと一息です。

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