デルタの車窓から
足回りリファインとアライメント
連なるアナログメーター
ステアリングホイール越しに6個のメーターを配し、この右側には更に2個のメーターがドライバーにマシンの情報を知らせる。
無骨でありながらも凛とした表情を持つインパネからは、イタリア車の粋を感じずにはいられない光景だ。
黒の文字盤に黄色の指針と文字には毒素の強さを無言で伝えてくる。
世の中に生息する黄色と黒の2色使いは、危険性が高い事を意味する場面が多いがデルタのメーターパネルにはその2色で彩られる。
この時代の車らしく、奥行きの浅いダッシュパネル。
太いアームのワイパー越に、タービンとツインカムヘッドを逃がすべく設けられたバルジがおのずとデルタに乗っている感を盛り上げる。
運転席から顔を覗かせ、前進する様なシーンがある場合には太く張り出したブリスターフェンダーとエアスクープが視界に移り込む。
ターンシグナル・インジゲータが、斜め後ろ45度位を向く事からもフェンダーの張り出し具合が尋常では無い事を物語る。
運転席車窓から、デルタインテグラーレから放つオーラを随所に感じられる。
今回の主たる作業は、サスペンションのリファイン。
その過程を、BOSCH SDLテストの結果を通じて追っていこう。
①作業着手前の路面粘着率グラフ。
前後共にKONI製スポーツダンパーが装着された状態。
②フロントの組み換えを終えた直後の状態。
垂れ下がるグラフが横這いに近い状態に変化を見せた。
③リヤダンパーの組み換えを終えた直後の状態。
リヤの沈み込み最大値に変化が出ている。
④前後の組み換えを終え、アライメント調整を施工。
アライメント調整前の数値の中で最も気になるのは、リヤ側のトーの値。
左右差に1mm近い差がある事と、スラストアングルがプラス方向に向いている事。
調整後は、リヤ・トータルトウの値が2.7mm減少し、左右差を詰めた。
その結果、スラストアングルがほぼゼロのマイナス寄りに。
⑤アライメントの施工後は、SDLテストにおけるサイドスリップの数値にとても大きな変化が出た。
施工前は7mm近い数値を計測していたが、施工後はそれが1.4mmへと減少している。
サイドスリップ値は、言い換えれば路面を転がるタイヤに掛かる負荷の為、少なければ少ないほど、綺麗に転がる。
そいういうイメージをして頂けると理解がはやい。
転がり抵抗が減るのみならず、フロントのタイヤの旋回角度に対して、リヤ側がそれに追従し着いて来ようとするとも言える。
これは、コーナリング時にリヤタイヤがフロントの行きたい方向と、逆方向に行きたがる(アンダーステア)と逆の作用が働く結果をもたらす。
綺麗に転がるタイヤは、綺麗に曲がる事が出来る。
サスリファインは、部品の交換だけでは良い結果が成し得られず、最終調整によりその良さを引き立たせる。
良い素材を活かすも殺すも調理次第、という事で締めくくろうと思う。
Written by Hashimoto