電圧ロスを極限まで低下する事に成功
クラシックボッシュと現代技術


アルファロメオ・スパイダー・ヴェローチェの電圧ロス(電圧降下)を探り、そして極限までその状況を回復させます。

作業前は電圧ロスが非常に大きな状態でした。
画像は、BOSCH V・Aメータによる電気負荷を与えながら、測定対象箇所の電位差・電圧ロスを測定しまします。
30A(アンペア)の負荷を掛けている際に、オルタネータの出力端子~バッテリプラス端子  間の電位差がどれだけ発生するかをみています。

上記から読み取れるのは、1.3ボルトの電圧差が生じているという事になります。
この状況をどう解釈するかですが、簡単に言えばものすごく勿体ない状況なのです。
電気を捨てている様なものですからね。

電気負荷を与えない状態であってもこれだけの電圧ロスが生じています。

0.8ボルトです。う~ん!勿体ない!

消えてしまう電気はどこにいってしまうのか?気になりますよね。
それは、熱に変わってしまうのです。
配線抵抗や、接続抵抗が主な原因です。
抵抗を乗り越えると、そこで発熱を生じますので、発熱=電気をそこで使った様な状態になるわけです。

考え方を変えると分かりやすいのですが、電気を熱に変える事が仕事の部品もあります。
それはリヤの曇り取りに使う電熱線です。
リヤの熱線は、銅のフィルムに電圧を与える事で発熱します。
それにより曇りを除去します。
車の電気部品のなかでも消費電力の多い部類に入ります。

熱を発生させるには、消費電力が上がるという事です。

スパイダーはバッテリがトランクルームにありますので、オルタネータ~バッテリまでが遠くその間に配線抵抗と接続抵抗が発生しやすいです。
このレイアウト車両の場合は、スパイダに限らずです。

上の画像は、オルタネータの出力電圧が振り分けられる部分です。
VAメータの表示は、上記の部分とバッテリターミナルの間の電圧ロスを現しています。

測定時のバッテリ付近は、ご覧の様な状態になっています。
デジタル診断とアナログ診断を行うと、おのずと接続物が増加します。


上のBOSCH FSAによる、オルタネータ出力波形と電圧を確認すると、バッテリに到達している電圧の低さが浮き彫りです。
エンジン回転をアイドリング~4500回転位までを段階を追って確認するのですが、負荷時は12ボルト台真ん中あたりです。非常に電圧が下がっているのが分かります。

これらを改善するために、今回行う作業は「ステージ1メンテナンス」です。
現代車両も、旧いシステムの車両も、基本的に必要となる作業は同じです。

どの場所にどれだけの電圧ロスが発生しているのかを熟知し、適切な改善を行うことで非常に良い結果が出てきました。

まず、先程の負荷試験を行っても電位差はほぼゼロに。

バッテリに到達する電圧も、しっかりと安定しました。

14.12ボルト。素晴らしい結果が出てきました。


作業前・作業後のレポートでもその結果は見てとれます。


時代を越えて必要な整備がステージ1メンテナンスです。
特に旧い車にはその効果の恩恵は大きいです。
電圧の安定化は、乗って体感出来るくらいに変化を感じられる場合もありますから。

Written by Hashimoto

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