見つけて良かった 手直し案件


各車の作業完了後には、完成検査と言って作業担当者以外の眼で車両全体を再確認する行程があります。
エンジンルームを眺めていると、第三者の手が入ったであろう箇所が目に留まりました。

誰かの手が入った車輛と言うのは、時には突っ込みどころが多々ある事があり、今回もその例に漏れずな一面を目にします。
アバルトのイグニッションコイルコネクタは、破損する事が多く組み換え・交換を行う事があります。
見るからに補修済みの光景。何かあるかも、と思いながら見進めるとビンゴでした。


コイル周辺の配線を修理のために繋ぎ合わせているのですが、芯線が露出しています。
シリーズ4以降のアバルトは、それまでとは配線の色が変わっています。
黒/紫=アース 青/黒=コイル電源 それ以外は信号線です。信号線は、気筒ごとに異なるカラーが使用されています、
独立点火制御である為ですね。
コイルを固定するボルトに、芯線が近くショートを招きそうである為修正を行います。

収縮チューブを剥くと、甘いハンダの処理が露わになりました。

素人さんの作業だと思いますが、配線を繋ぎ合わせる作業については苦手な方が多い様に思えます。
これ、何が難しいかって言いますと理由があります。
旧い配線は、銅線が酸化しているのですね。
酸化被膜を覆った芯線には、ハンダは乗りません。
ハンダを芯線に流し込もうとしても、はじいてしまいます。
ですので、出来る限り酸化していないところまで配線を短くするか、酸化被膜を除去する液剤を使用します。
そうする事で、適正にハンダを流し込める環境を作れます。

特に上の画像は分かりやすい状況でないでしょうか。
元の芯線には、ハンダが溶け込んでおらず、オレンジ被覆から生える芯線には溶け込んでいます。
V-UP16とMSAを度々取り付ける私からすると、推測がたやすいです。
しっかりと繋ぎ合わせられていない配線は、振動と熱により分離する事が多いと予測できます。

さらには、修理したはずのコネクタから金属端子が容易く抜け出てきました。
金属端子構造を理解できずに修理を行うと、こういう事になります。
端子にかしめた芯線の様子も、確実な圧着が出来ていません。

少し補修するつもりで始めましたが、少しでは完了しない状況なりました。
この際なので、確実に作り替えます。




サンデーメカニックさんは配線に手を出さない事をお願いします。
こういう事が引き金になり、深いトラブルに陥る事も考えられますので。おそらくですが8割・9割は、正しい作業を行えていないと思います。
トラブルが起きる前に対処が出来て良かったです。
Written by Hashimoto

関連記事