初期頃のアバルト
ECUトラブルが多いのは気のせいか?

長期的にメンテナンスの全てをお任せ頂いている、前期~中期にかけてのアバルトはエンジンストールの症状でレッカー搬送されました。
この頃のアバルトで不定期なエンジン不調。
症状で始めの頃は、ストール後の再始動は容易に可能であります。
次第に状況は悪化し、いつの間にか再始動が困難になり始動不可能の状態に陥ります。
とは言え、暫くの時間を置くと何事も無かったかのように始動可能な状態に復帰します。
こんな状況では怖くて乗ってられないですね。
第一報を伺った際「またか。。」そう思いました。
そう思うには理由がありまして、この頃のアバルトの弱点と言える「エンジンECUがトラブルを起こし易い」事にあります。
過去にも数台、思い当たる節のある症例でした。
でも、なぜか分かりませんがECUの書き換えを行っている車ばかりがその症状を引き起こしている様に思えます。
弊社の実績では全車がその例に当てはまります。
「ECUのトラブル=交換かつ大きな金額が必要になる」
誰もがそう思う内容です。
ECUも人が造ったもの。ケースによってはリペアが可能な場合もあります。
特に、エンジンが掛からなくなると言った分かりやすい症状の場合は、救いようのある内容です。
今回も、即座にリペア復帰が可能でした。
(遠隔対応の可能な内容では無いため、メール問い合わせは受け付けておりませんことをご承知おきください。)
別のトラブルが併発していまして、チェックランプの点灯経緯がありました。
それが冒頭画像のO2センサーです。
O2センサー(ラムダセンサ)は、排気ガス中の酸素濃度を検出し、それを空燃比に置き換えてECU内で細かな燃調補正を行います。

装着位置は触媒の上と下。
それぞれに役割が異なります。
空燃比・燃調に影響を与えるのは、センサー1のO2センサです。
センサー1とは触媒の通過前に備わります。
グラフはBOSCH KTSテスタの実測値を印刷したものです。
上下に動く紫色の線が、センサー1の出力値です。
30秒までは上下に動いており(正常)、30秒以降は動きが止まり、中央を水平に動く様になります。
センサーが仕事をすることを停止した事を意味します。

酸素濃度が多い・少ない 状況に合わせて、センサーが微弱電圧を発電し、ECUに入力すると燃料噴射量を微調整します。
排気ガス濃度を測定したものがコチラの結果でして、
向かって左のデータがセンサーが上手く働いていない時のもの。
向かって右のデータがセンサーが正常に作動している時のもの。

センサーの状態が悪い時の排出ガスからは、CO/HCの排出量が増えているのが分かります。
C02の値は数値が低くなっている事から、混合気を燃やし切れていない(完全燃焼できていない)事も読み取れます。
僅かな差ですが、これが積ると燃費にも響く。という事に繋がるのですね。
ちなみに、このわずかな差はエンジンの調子良し悪しには体感的には分かり辛いレベルです。
言われてみると、アイドリングの安定感が少し欠ける?という程度です。
センサーを上下共に交換し、機敏に動くセンサーの数値に戻りました。

動きのキレが良くなると、細かな燃調補正が出来るようになり、結果的に安定感のあるエンジンに仕上がります。
ECUトラブル修理のみでなく、気になる個所も同時に施工させて頂き、年内の完成~納車に間に合いました。
車のトラブルはその車の個性のひとつ。
今後も各車としっかりと向き合っていきたいと思います。
Written by Hashimoto













