クラッチが重たくなりがち
ツインエアーのマニュアルモデル


クラッチ交換の作業を進行中である、フィアット500S(ツインエアーエンジン搭載のマニュアルモデル)は、10万キロを越えクラッチの操作力に違和感を感じていました。
このツインエアーエンジン搭載のマニュアルモデルについては、8万キロあたりからクラッチペダルの操作力が増し、左足に「重たさ・渋さ」を感じる事が多いです。

理由は、ディスク消耗に合わせてダイヤフラムスプリングの角度がせり上がる事なのですが、ツインエアーのクラッチはその傾向が強いです。
その為、レリーズベアリングを介してダイヤフラムを押し込む力・初動力が多目に必要となる事です。

外したクラッチディスクは、結構なレベルの消耗具合でした。

厚みの計測を行うと「5.95mm」と「7.64mm」約1.7mmの消耗を確認出来ました。

良く減っている方でありますが、他の車で1.6mm減った場合に対して、ダイヤフラムスプリングに付く角度の増加は、ツインエアーの方が割合が強いです。

ツインエアーエンジンに用いられるフライホイールには2種類あり、DMF構造と、ソリッドに分かれます。
前期モデルにはソリッドが用いられ、DMFのそれとは重量が異なる事が特徴です。
以下は、ソリッドの純正品と、弊社オリジナルのDMFに重量を合わせたソリッドフライホイールそれぞれの計測結果。

2.1キロの重量差があるのですが、ツインエアーの場合はこの重量増しが効果覿面。
スポーティなエンジンでは無いので軽くする事は逆効果となります。

軽さ爽快なクラッチを組み付けます。
念のため、作動チェックを施工。新しいフライホイールに、新しいクラッチの組み合わせで切れ具合と荷重値の測定を行います。


メカニック目線での大切な事。
ツインエアーのクラッチと1200ccのクラッチなど、カバー側に種類があります。
これ、一見するとほぼ同じに見えるのです。
横並びのクラッチカバーはメーカは異なるものの、同じ仕様であります。
カバーをフライホイールに固定する面と、プレッシャプレートの位置関係に違いがある場合があります。
この間違いが起きると、組み付け後にクラッチが切れない・もしくは滑る。などといった不具合が生じます。

引き続き作業を進めます。
Written by Hashimoto

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