ルーテシアRS サーモスタット交換とLLCの濃度分析

HIDの作業は完了し続きましては、サーモスタットの交換に移ります。

サーモスタットを取り出してみると、規定水温に達する前に、バルブが開放状態
となっていました。
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こちらが正常品です。
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画像から違いが分かりますね。
この状況では水温の安定化は難しいはずです。

クーラントを回収し、クーラントラインをフラッシング洗浄を繰り返します。
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ここで、気になったことがありますので、濃度分析を始めました。IMG_1658

水温の不安定な原因が、サーモスタットだけの原因かどうか?を調べます。

1回目の回収で抜き取ったクーラントを分析したところ、不凍温度がマイナス50度を
軽くオーバーしていました。

3回目の回収・洗浄を行ったクーラントを性能試験で診断してみると。
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ようやくマイナス20度に落ち着きました。

一回の回収で吸出せるクーラントの量は、ルーテシア3RSの場合で約4リットルです。
この作業を繰り返し進めています。

4回目の結果
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マイナス1.5度、位でしょうか。

五回目の回収
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不凍液としての機能を失いました。

ここから、新しいクーラントを封入していきます。
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当社のクーラントは、希釈は行わずにそのまま使用するLLCを使用しています。
SessAブランドのクーラントですが、いつもお世話になっているオイルメーカーの
Lubross(ルブロス)さんに調合してもらっています。

マイナス20度の濃度ですので、日本での使用には問題ありませんが、寒冷地仕様
をご希望される場合はその事をお知らせください。
専用濃度をご用意します。

さて、本題に戻ります。
クーラント濃度を濃くすると、不凍温度はどんどん上がります。
今回の一回目の回収はマイナス50度ですから、特濃状態となっていました。

濃ければ高性能という認識は大きな誤りでして、濃ければ濃いほどに
クーラントの粘度が増します。I(ウォータポンプのフリクションが増大します。)
また、熱しやすく・冷め難い、特性になります。
オーバーヒート気味という事ですね。

サーモスタットが開き放しになっていたおかげで、水温上昇を抑えられたのかもしれません。

使用する地域性を理解し、適正濃度を選択する事がベストチョイスというわけです。

何事も、丁度良いが最適です。

車の整備は、基本に忠実が一番です。
基本は忠実に、そこからどんな味付けでお客様の好みに仕上げていくか、を考えるのが
私たちのご提供する整備であり、その先にカスタムやチューニングがあると考えています。

私達は整備を真剣に行い、そして楽しみ、お客様には愛車を存分に楽しんで頂く。
ここがシンクロする事に喜びを感じています。

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