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工場通信

アバルトやチンクに美味しいオリジナルサスペンションの新規開発を始めました Part.1

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サスペンションの開発はエンドレスです。詰めれば詰めるほど良い発見が出てきます。一般的には自社製のオリジナルサスペンションKITは1つがあればそれで完結ですが当社の場合あらゆる方向性を考え、抜かりない商品設定としたいわがままな思いから常に考察・進化を行っています。

今回取り組むのは、リヤダンパーのセッティングです。テストとして試みるのはシリンダー容量を増やした物を用いることです。アバルトやチンク、そしてパンダのリヤダンパーは設定できる長さに制限があります。ローダウンをしている車両の場合は更に制限が厳しい方向におかれます。トーションビームと呼ばれるリヤサスペンション構造は、左右個別ではなく連動して動きます。更にはビーム自体が重量物である為、ダンパー容量が不足していたり減衰のアンマッチがあると振り子のように暴れるトーションビームの動きを抑制できなくなります。IMG_0465
画像はFIAT500のトーションビームです。初めて見られる方にとっては思った以上に大きな物だったのではないでしょうか。黄色いキャリパーの傍にはスプリングの台座が確認できます。ここにスプリングが座り、その後方にはダンパーの下側がマウントされます。スプリングの上側とダンパーの上側はボディにマウントされます。ブレーキやリヤアクスルといった重量物がビームの最後方に装着されるので、振り子原理の振れ増しは非常に大きいことがうかがえます。小さな段差~大きな段差 そこに速度が加わることで常に動き続ける重量物ですので、暴れるサスペンションとも言い換えることができます。

リヤダンパーとスプリングの仕事量とその重要性は、乗り心地のことを考えるとフロント以上に重要度が高くなります。

FF車はフロントが命、リヤは着いてくるだけ。ではありません。リヤこそ大切なんです。

その様な観点から、今回行う内容は。
リヤダンパーの長さはローダウンにも対応すべくショートストロークでありながら、不足するガス室・オイル室の容量確保の為シリンダー径を一回り太くし、包容力のあるダンパーを使用する事です。
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これまで使用していた、エナペタル製のダンパーから完全新規作成のオリジナルリヤダンパーに変更します。
これまではBILSTEIN  B14のダンパーを仕様変更して使っていました。これはこれで良かったのですが、使う過程で気に入らない部分も有りました。それは急な入力や、低速で乗り越える大きな段差に対して先述のビームの振り子現象に対して非常に弱い点がありました。

基本的な減衰を見直し、新規作成したダンパーでそこを克服しようという事です。

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テスト車両は当社の代車パンダ2です。チンクとパンダでは全く同じものではダメなのですが、まずはテストの意味でこれまでサスペンション開発車両として使用していた車両を使用します。
左右のダンパーを外すと、伸び側を制御する物が無くなりますので、重量に沿って足はダラ~ンと垂れ下がります。
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各部を組み付け、路上テストとSDLテストを繰り返し行っていきます。