MGミジェットは水廻り整備とエンジン調整


MGミジェットの作業の続きです。エンジンが綺麗に回る為の点火装置を、アナログテスタを用いて確認します。
キャブレタ車ですが、基本のセッティングはしっかりと出ていますので点火装置を常に万全に保つ事が重要です。気難しいチューニングエンジンとなればキャブの定期調整も必要ですが、そういうエンジンの搭載されている車輌ではありませんので、基本的な点検で完了します。

というわけで、BOSCHエンジンアナライザに接続し、点火システムの基本診断を行います。


ブラウン管に映し出されるのは、点火2次波形です。スパークプラグにどのように火花が飛んでいるかを確認出来ます。
グリーンの波形の最も左は、スパークラインと呼んでいてスパークプラグに飛ぶ火花の状況を表示しています。
横方向に綺麗に伸びていれば良い火花が飛んでいると判断出来ます。
下から順に、1-3-4-2 と点火順序に沿って気筒毎の波形を表示しています。
下から二番目と三番目 すなわち3番・4番 の点火に少し問題がありました。これは、プラグの若干の失火を意味しています。プラグがススなどで汚れることで、良い火花が飛び辛くなっています。プラグの清掃とギャップ点検で改善しました。

エンジンの回転音に、雑味を感じたので点検を行うとウォータポンプにベアリング不良が確認出来ました。基本的にはクラシックミニに搭載されているエンジンと同じですので、ポンプも同じです。異なるのはFRレイアウトですから、ラジエタも、ポンプも車輌前方に取り付けられています。

ラジエタとシェラウドを取り外して。黄色いプロペラの奥側にポンプが取り付けられています。黄色のプロペラが可愛いらしいですよね。「回転物だから危険だぞ」という意味を込めての黄色だと思います。この頃の車には多い事例です。

プロペラは、エンジンの駆動力をベルトに伝えて回転しています。
プロペラ本体の回転抵抗がありますので、エンジンはその抵抗を負荷として一緒に回しています。回転数が上がれば負荷は増大します。
ラジエタ側に電動式ファンを取り付けて、黄色のプロペラを無しにするとビックリする位にエンジンが軽く回ります。(余談です。)

ウォータポンプの新旧比較。写真では分かりませんが、軸のベアリングがガタガタになっていました。気付かずに納車していたら、きっと水漏れを起こしていた事でしょう。

基本コンディションの良い車輌ですので、最低限の改善にて作業全体が完了しました。
時にはアナログな旧い車に携わるのも良いものです。
そういう私は最近は毎日1969年式のクラシックミニに乗っています。便利な物は何も無く、キーを捻れば騒音が響きます。時代の流れに反した事も楽しみながら、時代に合わせた整備をご提供しています。
Written by Hashimoto

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