ブレンボキャリパー オーバーホール
ジュリエッタは同サイズが8個です


グロスブラックにお化粧直しを施したのは、ジュリエッタQVのブレンボキャリパです。
塗装のためには分解作業が必須でして、その後は新品のシールとダストブーツを使ってオーバーホールを行います。
ブレンボのキャリパーは、外観は同じであっても中に組まれているピストンサイズは車種によって様々に異なります。
今回の形状のキャリパーはアルファロメオ159と同じです。でも、159とジュリエッタはピストンサイズが異なります。マスタシリンダのサイズによってメーカー側でサイズ決定をしていると言う事になりますね。

これよりも小さいブレンボは、現在非常に多くの車に使われており、アバルト595コンペ・ルーテシア3RS・グランデプントアバルト・アルファロメオミトQV・あたりを当社ではよく見かけます。
4ポットキャリパでピストンサイズが4つとも同じ場合と、2個ずつサイズが異なる場合と、色々な組み合わせが有ります。
当社ではあらゆるサイズのブレンボシールを在庫していますので「どの車がどのサイズで」という把握よりも、抜き取ったピストンサイズに合わせて部品を出してくると言う流れです。

オートバイ用のキャリパでは、ピストンシールに組付け向きが定められている場合もあるのですが、純正採用のキャリパの場合はシールは内側・外側共に同じ径である事が殆どです。
キャリパー側のシールの嵌まる溝がテーパー状になっています。

いつ何時に、異形シールが現れるかは分かりませんので、分解時は注意深く確認します。

リヤ側もグロスブラックにペイントしています。フロントと同じくシールとダストブーツを交換します。リヤキャリパも同じ見た目で有りながらピストンサイズは様々です。

今回組付けるDIXCELさんのスリッドロータ前後と、当社オリジナルのSessAブレーキパッドです。
DIXCEL スリッドロータは、スリッド本数により回転方向の指定があります。
今回は6本スリッドですので、回転方向の逆に向くようにスリッドの向きを合わせます。

ステンレスホースは、サラッと調べた所キット品の設定が無かったので自社製作を行いました。グッドリッジ製のフィッティングを使ってサイズを計って組み立てています。

ブレーキキャリパをペイントする際、どのように段取りしているかを皆様に知って頂こうと思います。
車側からは4つのキャリパを外す事になるので、ブレーキが全く効きません。そんな車を押して出すのも怖すぎるので。。。でもリフトに上げたまま放置するのは他の車の作業を行うのに弊害が出ます。
ですので、可能な場合は代打的キャリパーを装着しています。今回はUSEDキャリパーを仮付けしました。リヤ側も別のキャリパを取り付けています。
そうする事で、車の移動は行えます。

工場通信ではいともカンタンに作業を行っているかの様に見えますが、実は全然カンタンには行えておりません。外した部品を分解して、洗浄して、点検して、塗装のための下地作りをして、ロゴ製作を行い。。。組付け時は細心の注意を払い組付けて、慎重なエア抜き~試運転での感触チェック、フルード漏れが無いかを確認と、本当はめちゃくちゃ手間の掛かることを行っています。あまり言いませんが必死です。

良い感じに整ってきました。

フロントに合わせてリヤもグロスブラックにしています。フロントは赤ロゴが入るので映えますがリヤは印象が大人しくなります。
とは言ってもリヤだけイエローとかレッドではおかしいですもんね。

ステンレスホースの効果と、キャリパーシールが新品である事が重なり、ブレーキフィーリング・タッチがもの凄く良くなりました。
ラバーホースと比べて圧の逃げを抑えられるため、コントロール性能が飛躍的に向上しています。
今までが踏力に対して 2-4-6-8-10 的な具合に制動していたとすると、0.1-0.2-0.3-0.4…という感じに制動力がリニアに立ち上がる印象を強く感じます。

余談です。自分はブレーキングの際、150m先のあの場所で停止する。という目標点に対して踏み始めから停止時まで踏力を変化させずに車を停める事が好きです。止る直前にブレーキを抜くイメージですね。そういう乗り方をされる方にもステンレスホースはとても効果的だと思います。

どうしてもスポーツ要素の強い部品として捉えられがちですが「ブレーキ操作が上手になる」そういう事です。

全ての車がステンレスホースであっても良いな。と思う今日この頃です。
「楽しむための車造り」をご提案させて頂ければ幸せです。
Written by Hashimoto

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