406クーペ 3.0L V6 はタイミングベルトの交換から開始
エンジンマウントの損傷がエグいです


永年大切に乗り続けられている406のクーペは定期メンテナンスでのお預かりをさせて頂いています。
こちらのオーナー様は406クーペを「ガンガン使う」そんな言葉がしっくりとくる使い方でして、走行距離は既に20万キロの半ばにさしかかりました。
当社では何度目のベルト交換となるのでしょう。

ベルトの状態は劣化がそこそこ進行していました。細かいひび割れが目立つ状態になっています。


一見するとグツグツ詰めのエンジンルームですが、整備性は意外にも悪くは無いです。この頃の車らしい造り方とでも言いましょうか。これが407となると整備性は若干悪くなります。

V6 DOHCですので、カムプーリーは4つ備わります。すべてのプーリにアジャスト機構が備わる為、タイミングの調整とベルトの張りを行うにあたり作業性が良いです。

驚く状態に変貌していたのは、エンジンマウントです。
きっと違和感を大いに感じられていたのでは無いでしょうか。

潰れ具合が盛大であるのは言うまでもないのですが、大変なのはこの裏側です。

ボディへの取り付け部分が破損し、本来はあるはずのボルトの姿がありません。

ボディ側に残っていました。こうなると、残骸を取り外すのが大変なのですよね。。

本来の姿はこんな感じに、マウントの下側からボルトが生えています。

ペッタンコになっていますね。。まぁ搭載されているエンジンンが重たいので、マウントへの負担は2.0Lの1.5倍はかかるのでしょう。

このマウントを締め付けるのには専用工具を用います。
永年使用しているプジョー製のSSTです。作りが頑丈ですので、全く壊れない事も特筆すべき点です。

分解時に気になったのが、プラグホール内がオイルでベタベタになっていた事です。カムカバーからのオイル漏れが原因と思われます。
ガスケットを修正するために、組み付け間に処置を行います。後ろバンク側ですので組み付け後はインマニが上側を塞いでしまいます。

それと、危うく生産終了か!?と恐れましたが、何とか供給されたのがこの樹脂のホースです。ブローバイガスを還元する為のホースです。
分解時には樹脂劣化で触れただけで崩壊しました。


アクセサリーベルトを張る為のテンショナ機構も、補修用のスプリングとローラーベアリングを交換し、本体の可動部は洗浄・給油にてオーバーホールを行い組み付けを行います。

イタリアンのV6とは性格が異なり、こちらはとてもジェントルな仕立てとなる事が特徴的です。
静かに・図太く・パワフル。それがフレンチV6であります。
大人のエンジンですね。
静粛に回るその様子はα波(アルファー波)が出てるのではないかと思う程、走行中にリラックスした気持ちを感じます。
反面イタリアンV6は、ドライバーを煽ってくるかの挑発的な素振りを魅せます。
お国柄ですね。

Written by Hashimoto

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