アルファロメオ ミト バッテリーターミナルの状態が...。

前回より引き続きメンテナンスを進行しています。
今回ご紹介するのは、現代のフィアット・アルファの鬼門「バッテリーターミナル」回りの整備です。

当社では、バッテリーターミナルを信頼性の高い物へと変更し、さらに電圧降下を極力無い状態の
充電回路へとバージョンアップする為の作業を入庫車輌を全車に施しています。
アーシング?という声も聞こえてきますが、当社ではこの作業を「充電回路の整備(ステージ1メンテナンス)
と呼び、取り扱っています。
アース回路のみならず、プラス回路にまで最大限の効果を望み、手を入れる為その様に呼んでいます。

まずは標準装着されているターミナル回りをご覧頂きます。
CIMG0699
見た目にもかなりマズイのが見て取れます。
まず、変色。これは電圧ロスにより加熱・冷却を繰り返した為、ターミナル金属部が酸化した事と
バッテリ電解液がバッテリポストより浮上し、腐食をもたらしたものと考えられます。
CIMG0704 ターミナル裏
次に、金属腐食による部品の消耗。
外して裏側から確認すると、ただでさえ接触面積の少ないターミナルがさらに痩せてしまい細くなっています。
説明付きの画像では、別の問題点も確認できます。
プラスターミナルに接続される電源供給線は、意外にも不安定な6mmボルトに取り付けられています。
新たに取り付けるターミナルの場合、10mmサイズのボルトに新たに作り直した端子を締めこみますので
各部の接続状況は大きく改善できます。

CIMG0705
リレー&フューズボックスへ伸びる配線の接続部です。
これらが先ほどの6mmボルトに接続されます。

CIMG0702
そしてこちらはアースケーブルです。
裏向きの状態で撮影しています。
マイナスターミナルより生えるポールに、カチンっとワンタッチで装着されています。
装着後は360°ぐるぐると回転させる事ができる独特な接続部です。
内部はなかなか凝った構造になっていて、稼動可能な構造でありながら接触面積を確保しています。
しかしながらアイドルストップ装着車輌のアースケーブルとしては頼りなさを感じます。

施工後はこの様な仕上がりとなります。
本来ならばプラス・マイナス共にターミナルを交換したいところですが、マイナス側にはアイドルストップ車ならではの
電流監視システムが装着されている為、この様な場合は交換する事ができません。
プラス側は、先述の配線類は10mmボルトにて締め付けれるように加工済みです。
さらに、オルタネータからのダイレクトケーブルも製作し、組み込んでいます。
CIMG0720 CIMG0721

CIMG0700
マイナス側は、電流監視に入る手前部分の銅版に新たなアースケーブルを取り付けました。
こうする事で、電流値の誤作動を防止しながら、アース回路がより確かな物へとなります。

一連の作業を終えた後は、充電回路のレポートを出力します。
これにより、どのように電圧変化が現れたかが一目瞭然で確認できます。
20150303115843_00001
注目すべき点は、作業前と作業後の電気負荷時の充電電圧の差です。
電気負荷時の電圧降下=接触不良・接圧不足による発熱・抵抗増大ですから、基本的な
ケーブル及びメイン端子の見直しにより確実な変化が現れます。

いつの時代も車を取り巻く電気環境は大切です。
60年代の車輌にも、現代の車輌にも、効く基本整備の一つです。

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