アバルト595 ブレーキひきずりを改善
キャリパーピストンも交換


「スナップオン・トルクメーター」ヴィンテージスナップオンを普通に使う当社です。
こういう時、映えるツールが工場にあるのは何と言いますか、工具好きのメカニック集団である強みだと自負します。
普通にスナップオンを常用している工場であってもこれはレアだと思います。

そんな事はさておき。
アバルトのブレーキトラブル。今年に入ってから2台目です。
ある意味、ブレンボよりも性質が悪いかもしれません。
車検整備でのお預かりをさせていただいているアバルトは、車検作業前の点検時にブレーキ引きずりを確認しました。
BOSCH SDLによるブレーキテストで発見できたのですが、テスタの恩恵です。
リフトアップの前に分かるという、助かる・使えるテスタです。

お客様には事情を説明し、ブレーキ整備の内容を追加させて頂きました。
分解前にスナップオン・トルクメータを使って回転抵抗を測定します。

問題の合った右側のキャリパからチェックしている光景を動画に収めました。
センターハブにレンチを掛け、時計回りに回転。
ハブの回転前から、メーターの指針が動いています。動いているというか振り切っていますね。
ハブを回すのに必要となるトルクが必要と言う事です。

左側は、軽い力で回転しています。

ブレーキキャリパに問題が生じているのは間違いなさそうです。
分解し、必要個所の手当てを行いましょう。
低ダストパッド装着者ですから、ブレーキパーツの汚れはとても軽度なレベルです。

キャリパピストンを抜き取ると、錆の筋が出ているのが気になります。

シリンダ側にも錆の気配が見つかりました。

洗浄時に気になったのが、キャリパフローティングの動きの悪さです。
手では伸び縮みする事が出来ませんでした。無理にプライヤで力を掛けたくないので、スライドハンマーを使用します。
ボルトをフローティングボルトにセット。(フローティング固定用のボルトはM8X1.0の特殊ピッチです。珍しいサイズです。)

 

「コンっコンっ」と引き抜き作業を行うと。軽い力で引き抜けました。


工具選び大切です。プライヤ使ってたら、今頃まだ抜けていないだろうなと、この時思いました。
ボルトサイズが特殊でしたので、工場2階に上がってボルトを取りに行ってなど無駄な時間はありましたが、それでも帳消しできる感じです。
M8X1.0ボルトを大量にストックしている工場もなかなかレアです。

フローティングボルトは2本ともに結構錆が回っています。
水分によるものでしょうね。

フローティングシリンダを綺麗に清掃します。

シャフト清掃後、動きを良くするグリスを塗布し、両側に馴染ませます。

ピストンは、清掃により綺麗な見た目に戻ったのですが検品していると。。

僅かですが傷を発見しました。
しかも場所が結構外側です。
常時キャリパシールに触れる箇所ですから、傷は厳禁。交換します。


ブリーダボルトも繰り返し使用で、当たり面の不良は予想できます。
ねじサイズが細いので、錆びて折れたらめんどくさい事になりますので、交換します。

ブレーキ整備は、何が起きても怖くない。即時対応可能な万全の態勢を当社のお客様の為にご用意しています。
Written by Hashimoto

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