アバルトMTAの謎?ナゾ..
教科書に書いてるのかさえも分からない事


アバルトに搭載される 2ペダル マニュアルモード付き ATミッションの事を「MTA」と呼びます。
「アバルトMTA」という言葉は良く飛び交うフレーズですが、そういう事を意味しています。
MTAという言葉は知っていても、MTAがどのような制御を行っているのか?これは知りたくても、なかなか知る機会の無い話だと思います。

制御システムのひとつである「レリーズアクチュエータ」は、クラッチ凝結についての制御を統括する部品。

冒頭の手に持った物がそれです。
一見すると、マニュアル用のレリーズシリンダと似ているのですが、MTA用には油圧機構の他にセンサーを備えています。
画像は交換前の物ですが、スライド機構の真横に磁気センサーが備わります。
スライドする量を見るためのセンサーです。

とても分かりにくい画像ですが、ミッションを搭載するとセンサーとクラッチカバーの位置関係を確認出来ます。
ミッション単体もしくは、組付けたクラッチ機構単体のそれぞれを見ている状況と、実際に組付けられた状態を確認すると、作動状況のイメージが沸いてきます。
始めてこの状況を見た際に驚いたのは、思っていた以上にセンサーとカバーの位置関係はとても近いという事。
クラッチディスクの消耗が進むと、カバーのダイヤフラムは立ってくるのですが(これはメカニズム的にそういう理論)、そうなると更にカバーとセンサーの位置関係が近づきます。

作業を行う際に、いつも確認するテスタにより読み取る実測値は、電気の力で機械が行った事を分かり易く数値化した物です。
これは、センサー類についても同じ事。
電気信号は様々な電圧・電流・抵抗などが縦横無尽に変化しますので、それらの数値のみでは一般的には理解が出来ません。
それを分かり易く表示してくれるのが、車輌診断テスタの実測値としての機能です。

では、MTAのレリーズアクチュエータが作動した際には、どの様な電気信号が出力されているのでしょうか。
以前からとても気になっていた事を、調べて紐解く機会が訪れました。

考察により分かったことは、車側のECUは抵抗値変化を見ているのでは無く、コイルによる電圧変化を見ているという事。
センサーの片側は磁性体であり、もう片側はコイルであるため、それらが摺動する事で誘導起電力・誘導電流が発生します。
じっと静止している間は、誘導作用が発生しない・動き出すとリニアに電力を発生する。その様な仕組みです。

クラッチが減れば、先程も触れた様にクラッッチカバーの角度が変ります。
そうすると、レリーズの基本位置が変ります。それをクラッチの減り量と認識します。
マニュアル車では、感覚に頼って半クラの位置を察知しますが、MTAの場合は感覚的なものはECUには存在しません。
すべての事を、これらのセンサーが認識する事になります。
ミッションに取り付けられた回転センサーの信号と、クラッチの信号値を演算し、半クラ位置を決定します。
厄介なことにECUには補正限界値が設定されており、既定値異常の数値を検出すると補正範囲を越えるために設定が出来なくなります。
別の分かり易い部位で言えば、ヘッドライト調整の際に使用する、車高を検出するセンサーでも同じ事が言えます。
「車高が下がり過ぎた車輌は、オートレベライザーのキャリブレーションが出来ない」
クラッチに置き換えると、こうなります。
「減りすぎたクラッチは、テスタによるキャリブレーションが出来ない」

それらの判別の中心となるのは、全てがセンサーより出力される実測値という事ですね。

電子制御車の場合、車を動かしているのは、全てが電気の仕組みによる物です。
どんな制御もそうですが、これらを考えた方は天才だと思います。

私には到底、システム構築は不可能ですが、少しでもその原理を知りたいという探究心は忘れずに向き合いたいと考えています。

でも、欲を言えば「プログラムを任意で調整が出来るとベストなのにな~」と考えるわけです。

人間と電気の付き合いは、この先も切っても切れない関係性が続きますので、探求に終わりは無さそうですね。
Written by Hashimoto

関連記事