バルブクラッシュの原因はまさかの


アバルト・グランデプント はエンジンの不始動によりレッカー搬送入庫となり、調べを進めています。

症状としては、エンジンに圧縮が無い・タイミングベルトが切れたかの様な状態でした。
セルモータを回してもカムシャフトは回転しない、掘り進めるとセルモータに同期して本来回るはずのクランクシャフトのスプロケが回転しない事が判明。
でもクランクシャフト本体は回っている事が不可解です。

もしかして!?
と思い、クランクシャフトのセンターボルトを確認すると..

とても大切なクランクセンターボルトは何かの拍子に抜け出てしまいクランクスプロケが空転する状態になっています。
これがクランクシャフトは回転するも、タイミングベルトが回らない理由でした。

その為、バルブ機構は一定位置に止まった状態でクランクのみが回転し、それと連動するピストンが上下に動いた事でバルブを突き上げてしまった様です。
シリンダヘッドの修理が必要な為、シリンダヘッドを取り外す運びとなりました。

古くは1990年台後半から使われているフィアットツインカムエンジン。
息の長いエンジンです。このエンジンには特徴があり、2階建て構造のシリンダヘッドとして設計されています。

分解にあたり、先ずは2階部分のカムシャフトが組み込まれた部屋を取り外し、その後にバルブ機構の収まる1階部分を取り外します。

インマニとタービンが付いた状態でヘッドを降ろし、スタンドへの設置が完了。

バルブスプリングが圧縮された状態で固まっています。
これは、バルブが曲がり戻ってこれなくなった為に起きる現象。



燃焼室側から確認すると、バルブへのダメージが確認できます。
明らかに大きく曲がった物、少し曲がったもの、曲がってはいないもののヒットの痕跡が確認できる物と混在していますが全てのバルブにダメージが
及んでいます。

曲がったバルブを交換しながら、ヘッドをオーバーホールするのか、ヘッド本体を交換するのか、価格面との照らし合わせを行いながらベストを模索します。
Written by Hashimoto

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