こんなつもりでは無かったのですよ


車検整備でのお預かりをさせて頂いている156 GTA SWは、左ハンドル・MTの粋な通仕様。
セレスピードでは無く、MTのスポーツワゴンという絶妙な位置づけであります。

これまでにも、様々な個所を手掛けさせて頂いている1台です。
今回は「そろそろブレーキのリファインを」という思いがあり、ご案内をさせていただいていました。

GTAには2種類のブレンボ設定があり、こちらは前期モデルの為に小さなキャリパが備わります。
後期型はキャリパもローターも一回り大きくなります。
この2種類、サスペンションの構造から異なる為に前期型を後期型に置き換える事は不可能です。
ハブキャリアからごっそりと交換すれば不可能も可能になりますが..
こちらの156v6は、その大掛かりなコンバージョンを行いました。

ずいぶんとくたびれたブレーキキャリパー。
足元は大事です。ブレンボキャリパは、機能部品でありながら出来る限り良い状態を維持したいと思う部分。
折角の美しいキャリパーが色あせ・色剥げを起こしていては、汚れきった靴を履いているようなもの。

クリヤーは完全に剥げ落ち、つや消しの衣装をまとった感じです。

今回は、外観の美化と機能部品のブラッシュアップを行います。
前後共にキャリパのリペイント・O/H・パッドロータの新調です。
フロントキャリパを左右ともに取り外し、リヤキャリパに作用を移しているのですが最後の最後に問題発生!
ブラケットのボルトが緩まんとです。

なんとか外せないものか努力を試みますが、ボルトの緩まなさ・頭が舐めるリスクが迫ります。
諦めてサスペンションの分解・ハブキャリア一体で取り外し、加熱し勘合を緩める策に出ます。

僅かな加熱でいとも簡単に緩みました。


問題はブレーキパーツの固着のみでは無く、サスペンションも大変であった事。
まあ、とにかくどこもかしこも固着・固着の連続。
聞くところによると、過去に群馬県での使用歴があったとの事で融雪剤の被害を食らっている事を想定しました。

 

ダミーキャリパーを装着し、転がすための準備も進めます。

片側のハブベアリングは劣悪な状態でした。
この際なので、交換しましょう。

再使用出来るボルトは、ダイスを通してねじ山の清掃。

各パーツの洗浄・必要に応じてウォータブラスト処理・金属部位の美化・防錆の為の処理を行い、左右とも同様に仕上げます。

なんでキャリパ外すのにここまでツールが必要になる!?
安易に始めた自分が悪いです。

やるからには不具合の改善は確実に。
一晩おいて、気持ちを入れ替え、リスタートしました。

4つのキャリパを取り外し、これから洗浄・分解・再度洗浄・点検・塗装の下地処理を済ませて、ペイント作業へと依頼を掛けます。

別作業からのお呼びがかかっているので、ひとまず現場を離れます。
Written by Hashimoto

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