106S16中古車整備 タイミングベルト廻りの整備

中古車販売=タイミングベルト交換というイメージが定着していますね。
ブレーキパッドもそのうちのひとつの様に思えます。
確かに、タイミングベルトはエンジンの命綱ですから、交換していないよりは
交換している個体を望む気持ちも分かります。

大切なのは正しく組み替えてあるかどうか。だと思います。
当社では取り扱い車種の全てのSSTを揃えています。
プジョー・シトロエン・ルノー・アルファロメオ・フィアット・ランチア それら全車種・全エンジンに対応
するSSTは膨大な数に及びます。

エンジン性能を活かすも・殺すもバルブタイミングの適正化は非常に重要な要素だからこそ
ツールの重要度は侮れません。

106の場合、大げさなSSTは不必要ですが、基本をしっかりと抑える必要があります。

こちらは交換前のタイミングベルトの様子です。
カムプーリーには前回の交換時に付けたであろうマーキングが確認できます。
マーキングは悪い事ではありませんが、アジャスタブルプーリのボルトを緩めた形跡が
無いことが気になります。
106S16のエンジンは、カムシャフトのプロフィールが純正でありながら若干高回転向き
なセッティングとなっています。
それが故に、カムプーリのアジャスタを緩め、プーリ間のベルトの弛みを調整時にとる必要が
あります。
その作業を怠ると、弛みが原因による妙な異音を発する事になります。
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画像の様にプーリ外周を外して、裏側の当たり面の清掃を行い、動きを良くするのが理想的です。
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カムシャフト側の清掃も忘れずに。
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プーリーの動きがスムーズになると、調整機構が滑らかに動くようになります。
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この環境を整えてから、ベルトを取り付け、テンショナを張ります。
そうすると、必然的にアジャスト機構は同じ位置では組めない為、過去に締めていた
箇所と、交換後に締めた位置関係は都度変わってきます。
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基本的な作業ですが、基本に忠実に組み付ける事で、調整値が原因の個体差を
無い状態にする事が可能です。

他にも数点の作業を行っています。
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先程の画像でチラッと登場しています。
プラグホールに取り付ける、TDC(上死点)ゲージです。
ピストンの位置をダイヤルゲージで確認する事で、正確なピストントップを検出できます。
確か、アルファロメオのSSTのひとつですが、プラグホールのネジ径が合えばどんな
エンジンにも使用する事が出来る為、重宝しています。

タイミングベルトのカバーは、一見綺麗ですが、実はこれトレントでの洗浄を行ったもの。
トレント洗浄は、弱アルカリ性のため樹脂パーツの洗浄にも適しています。

エンジンマウントの新旧比較。
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マウントの下側、中央部に飛び出しているのがエンジンとのつなぎ目であり、ここにぶら下がる
様にエンジンが取り付けられています。
黒いキャップが外したマウント
白いキャップが新しいマウント
中央部の飛び出し寸法が異なりますが、これがマウントのヘタリを表すものです。
沢山出ているほど、へたっています。

取り付けるボルトが再使用する事で、折れる事態が過去に頻発した為、ボルトを強化品に
変更します。
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そして、オリジナルパーツ アルミクランクプーリです。
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定番アイテムです。

引き続き作業は続行します。

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