白煙が工場を包む
深刻なオイル混入の原因を追う

排気管の出口からモクモクと煙が立ち上がる。困った症状を抱えたアバルトのご入庫です。
工場内でアイドリングできないくらいに煙が立ち込めます。
排気管から煙が出ると言うのは、燃焼室内にオイルが多く混入し、それが燃焼する事により白煙化する症状であります。
オイルが上がているのか、下がっているのか、はたまた双方なのか。
見定めるはいくつかのポイントがあります。
基本的な点検を行い、推測をたてる必要があります。
スパークプラグにはオイルが燃焼した事によるデポジットの付着を確認できます。
今回のケースで言えばデポジット付着は少なめかな。

オイルレベルゲージには全くオイルが付着せず。
オイル残量はあと僅かである事がうかがえます。

内視鏡をプラグホールから入れ込み、ピストントップを撮影した画像にはキラキラと生々しいオイル溜まりを確認できます。

ピストントップに溜まった汚れの量は、なかなかのレベルに達していそうです。

4つのシリンダーのうち、2つは上記の様な感じになりっており、残り2つはひとつ前の画像の状況です。
デポジットが付着していない箇所があるのは、デポジットが出来ないくらいにオイルの混入が多いという見方も出来ます。
常に湿り、溜まる隙が無い事を予想します。
これが凄い。
角度が90°倒れていますが、これはバルブの傘表面です。
左側がバルブ・右側はシリンダ壁です。
集合体恐怖症の場合、このバルブ表面の状態は寒気が走るのでは無いか?という位におぞましい状態になっています。

シリンダ壁はホーニングの確認も出来る事から、消耗は進んでいなさそうです。

コンプレッション・ロステストを行うと、圧縮の機密性は損なっていない事を全シリンダにおいて確認できました。
ロステストとは、圧縮行程の燃焼室に外部からエア圧を掛け、そのエアーがどこから・どの程度 リークするのかを確認するテスト方法です。
コンプレッションテストは、圧縮の元気度を確認しますが、ロステストは吹き抜け度合を確認できます。
一般的にはコンプレッションテストがメジャーですが、ロステストの方が的確な判断が出来る場合もあります。

腰下へのダメージは及んでおらず、総じてオイル下がりによるものと推測できます。
ステムシールに何等かの問題が起きているのか、ステムもしくはガイドの異常摩耗なのか。
ここから先は実際に分解を勧めなければ掴めなさそうです。
修理のリスクを含めて、お客様とプランの相談を進めます。
Written by Hashimoto













