悪化防止策で現状を維持
106クロスメンバー・シャフト


106S16は、12ヶ月点検でのお預りをさせていただいています。
1ヶ月前に一度お預りをさせて頂いて頂いたものの、施行箇所が多くなりそうである事から、一度お車をお返しし仕切り直しでの再入庫をご依頼したお車です。

今回はリヤ・足廻りに関して問題が発生していました。
クロスメンバーの可動部を支持するベアリングに劣化が進行したのでしょう。
画像のように、バールで力を掛けると可動部が動いてはいけない方向に動いてしまいます。

すなわち、内部ベアリングやメンバーシャフトに劣化が進行している事を意味します。

何が起きているのかを診る必要はあるのですが、最悪の事態が起きていたとて、今現在はクロスメンバーアッセンブリも、リペア用のシャフトも入手が出来ません。
現状確認をし、出来る限りの復元・処置を施すという方向で話はまとまりました。
何はともあれ、先ずは分解・内部確認から始めます。

開けてみたところ、予想通りの結果が待っていました。
クロスメンバーシャフトにダメージが及んでいます。

悪い事が分かったとしても、最善の状態に戻す術は無く悪化防止策と復元を目指します。
シャフトの汚れを除去すると、状況がよく見えてきます。
ニードルローラの当たっていた痕跡もクッキリと浮き彫りになりました。

スイングアーム内部のベアリングは、錆で赤茶けています。

ベアリング打ち替えのその前に、洗浄機で内部をクリーニングし全貌を明らかにします。

これらのリペアキットを用いて、ベアリングの打ち替えを行います。

ここまでは左側のお話し。
右側のコンディションは良い状態でありました。

組み付けを行う際に、ちょっとした対策作業を行います。
106のリヤクロスメンバーには、トーションバーが2本とスタビライザーバーが1本備わります。
2本のトーションバーは、左右のスイングアームぞれぞれに1本づつ繋がり、スプリングの役割を担います。
スタビライザーバーは、左右のスイングアームを繋ぎ、その名の通りスタビライザーの役割を担います。
スタビライザーには左右にバーエンドとしてロックプレートが装着されていますが、それらは圧入でのスプライン固定を行っています。
スプラインが減ると、勘合が甘くなる為に凝結に緩さが出てくるのが気になります。


そこで、画像のようにスタビライザーバーのエンドにネジ山を刻み、エンドプレートと直接凝結出来る様に加工を施しました。

106のリヤサスは、軽微な音が出やすい構造ですが、こういった対策によりそれらの改善に貢献する事もあります。
全てが音の改善に直結するとは断言出来ませんが、少なからず揺く固定されていた箇所が、しっかり固定される事には何ら不具合は起きないので良しとします。
引き続き作業を進めます。
Written by Hashimoto

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