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工場通信

ムルティプラ・リフレッシュ Part3 「タイミングベルト及び補記類系統の整備」

誰もが知る定期交換部品の代表格「タイミングベルト」の交換を行います。
この作業、お客様の認識の中に「どこで交換しても同じ」と捉えられているように私達は感じています。

タイミングベルトという部品が、どの様な役割を持っているのか?をここでおさらいしましょう。

簡単に言えばクランクシャフトとカムシャフトを繋ぐベルトです。
殆んどの場合、ウォータポンプもタイミングベルトが駆動しますので、同時交換が必須です。
ここまでは、珍しくも何とも無いことです。

4サイクルエンジンにはその名の通り、4つのサイクル(行程)によりエンジンが始動する仕組みになっています。
吸入→圧縮→燃焼→排気
この関係が規則正しく、きっちりと同期回転するからエンジンは回り続けます。
つまりメーカーの定めているバルブタイミングに合わせれば、問題なくエンジンは始動します。

でも、何かのきっかけが原因でこのタイミングが少しだけずれてしまった、とします。
少しだけとは、カムシャフトのギヤでベルト1コマ付近であったり、クランクシャフトのギヤでベルト1コマ付近
の事をここでは想定しています。
その場合でもエンジンは大抵の場合始動しますが、エンジンの出力は低下します。
2コマ分のずれが生じた場合、始動は困難になります。
それ以上の場合、ピストンにバルブが干渉する等といった危険性が増えてきます。

何となく分かってきましたでしょうか?
エンジンが最大出力を得る為の、バルブタイミングはごく限られた範囲内でのみ、それを得ることが可能となります。
言い方を変えれば、僅かにずれると出力が低下するという事になります。

多くのエンジンには、メーカー別に SST(スペシャルサービスツール)が設定されていて、それらを用いる事で
量産エンジンのタイミングベルトを間違いなく組むことが出来る様になっています。

重要な役割を持つベルトですから、「元通りに組む」のでは無く「間違いなく組む」が正解です。

プジョー106の様に純正のカムプーリがアジャスタを備えている場合は、指定のポジションを敢えてずらす事により
エンジン出力を向上させるという裏技も可能です。
彫り上げる事で、面白さまで出てくる作業なのですね。

本当は凄く奥の深い作業であるタイミングベルトの交換を、ご理解いただけましたでしょうか。

それでは、ムルティプラのタイミングベルトの交換作業に移りたいと思います。

ベルトカバーを外すと、一番上にカムシャフトプーリが確認できます。
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ここで気になる点が。
カムプーリにマーキングがありました。
ムルティプラのカムプーリには合いマークが無い為、正しいカムシャフトポジションはこの状態では分かりません。

それを確認するには、SSTが必要になります。
CIMG9769 CIMG9768
カムシャフトエンドカバーを外す事で、SSTを取り付けることができ、位置関係が正しいかの確認が出来ます。
SSTを取り付けてみると...
CIMG9767 CIMG9771
うまく取り付けることができません。
と、言うことは正しい位置では無いという事になります。
組みつけの際には正しい位置で組み付けます。

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ウォータポンプを交換します。
ムルティプラはタイミングベルトではなく、アクセサリーベルト(補記類ベルト)で駆動されています。
ポンプベアリングの状態は非常に悪くなっていました。

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ベルトを取り外し、各ベアリング類の状態をチェック。
また、新たに組み付ける部品が正しいかもチェックします。

CIMG9776
タイミングベルトのテンショナーは、自動調整式が装着されています。
とは言っても、基本位置までは手動で張る必要があります。
ここでもSSTが必要となります。

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予防整備のひとつです。
オルタネータも今回は交換しましょう。
過去に、発電不良となりレッカー入庫したムルティプラも例としてありますので、こういった機会は有効に使いましょう。

豊富な作業のムルティプラ、まだまだ先は続きます。
次回は、フロント周りのサスペンション及びフレーム関係についてご紹介します。