シム厚の選定に苦労します
ルーテシア3RS QUAIFE(クワイフ)ヘリカルLSDの組付け


クワイフLSD組み付けの為に、トランスミッションを降ろし、ミッションベンチに固定しました。ハウジングを開けると、一気に内部構造物が確認出来ます。エンドカバーと呼ばれるケースを持たない構造ゆえに、分解は非常にスムーズです。

このミッション固定台が非常に具合が良いのです。エンジンスタンドがベースですが、そこに特注の台を制作しミッションを固定できる様にしています。回転させ角度を変えることも出来たりと、利便性が高いです。何よりもミッション内部の作業中にグラつかないのが魅力です。

各部を順番に分解を進めると最後にデフ本体にたどり着きます。


FF車に多い構造ですが、やっぱりデフだけ外せる構造が一番良いですね。106やアバルトも同じ構造で、当社でLSDを組むことの多い車種は全車この様な造りです。FFでもデフの取り出し易い構造のミッションもあるのですが、一部に限られている気がします。

間が飛びますが、ここからが難題となります。デフギヤを換えると言うことは、本体の厚みが微妙に変わってきます。
厚みが増したり減ったりしてくるので、その差を埋める為には内部のシムという0.05mm刻みで用意される薄いリングの厚みを変える必要があります。
そのシムの厚みを算出するのに、ルノー指定の方法ですとデフ本体の寸法を測定し、その寸法からシム厚を選ぶ…となります。
テーパーベアリングを無負荷で寸法を測定しても本来の測定値では無いので信用できず、今回は厚めのシムに対して何ミリの隙間を設ければ理想的なベアリングプリロードが得られるかを、シクネスゲージを数カ所に挟み込みながら締め付けを行い、測定しました。

この方法で、ある程度近い寸法の必要シム厚を求める事は出来ました。こちらがそのシムですね。鉄製ですので、磁石にくっつきます。

必要シム厚の測定までは良かったのですが、基本となるシムセットには今回欲しいサイズのシムが入っていません。メーカーが純正デフを調整するのにはこれだけあれば良いでしょ?という事なのですが、そのサイズでは間に合わない事が分かりました。

こうなったら、シムを指定寸法で製作するのが堅実と判断しました。過去に206RCの作業中に必要となった為製作した経緯があります。今回は今後の事も考えてクリオに必要なシムを多めに製作することにしました。

引き続き作業を進めます。

Written by Hashimoto

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