デュアロジックシステムのメンテナンス


2ペダルAT 中身はマニュアル。フィアット500をはじめとするイタリアンコンパクトカーのミッションと言えば、デュアロジックシステムです。

トルクコンバータ式ATの様なスムーズな変速は出来ませんし、滑らかなクリープ機能も持ち合わせていません。
クセがあって乗り辛い!そんな声があるのも承知ですが、慣れると楽しくて乗りやすく、トルコンATでは不可能なキビキビとした走りを行う事ができます。

上手に維持管理を行う事で、クラッチ操作の違和感も拭うことが可能です。
今回は、クラッチ操作の為の機械的部品「レリーズレバー」に疑いをかけ、交換を行いました。
デュアロジック機構は、電気と油圧により制御されています。
でも最終的に動く部分は、機械的にクラッチを操作し、変速を行っています。

今回は、クラッチを切るのが遅く感じ、冒頭画像のレバーに不具合発生の予測をたてました。
演算されたクラッチ操作に対して機械的に動く部品に消耗が起きると、演算値と実際の値にズレが生じます。

レリーズレバーは、クラッチアクチュエータにより操作される、クラッチレリーズフォークを動かすための部品です。
球面状になっているのですが、その部分は常に繰り返される摺動により、消耗してきます。
消耗すると、クラッチ操作が上手ではなくなります。


くぼみ の最も深い箇所を測定すると、約5.5mmでした。

新品のレリーズレバーの同じ箇所の寸法は、約4.2mmです。
測り方により多少の前後は生じますが、明らかに1mm以上の差があります。
そろそろノギスを新調しないといけませんね。。

たかが1mmされど1mm。
この1mm単位が、機械部品には大きな差として捉えられるものです。
交換を行い、クラッチキャリブレーションの実行後は、当初気になったクラッチを切るのが遅い印象が拭え、上手なペダルワークを行える様になりました。

レバー交換で快適性を取り戻せるのは、その他の周辺構造物と制御が正しい場合に限ります。
同様の作業で、デュアロジックの悩みを全て解決できると言う意味ではありません。

Written by Hashimoto

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