アバルト・サスペンションセットアップ


アバルト500はサスペンションのリセッティング・仕様変更を兼て各部の計測などを行っています。
これまで使用していたスプリングのレート測定~これから使用する予定のスプリングのレート測定によりデータサンプリング中。

スプリングのレートは、スプリング本体に記載の有る場合とそうで無い場合とでその様子は様々です。
記載されているレートと異なる事もあり、そこから得られる結果は興味深い内容です。
レートだけでは本当は分からず、巻き方や特性により同じレートのスプリングであっても、乗った時の印象が変わるのがスプリング。
ダンパーのセッティングが無限大である様に、スプリング選定も無限大。
足回りの探求=沼ですね~!

油圧プレスを使用して、定盤の上に重量計をセット。その上に応力分散の為の平板を置いて、スプリングを10mm・20mm・30mmと縮めます。
その際に得られる重量の表示に対して、縮めた分量を割って計算するとおおよそのレート測定ができます。

沢山のスプリングを計測する事で、自社環境での測定誤差を把握できるのである程度は確実な結果となっていると信じています。

今回はこれまで使用されていたダンパーとスプリングを変更。
スフェリカルアッパーマウントは、以前より当社のオリジナルをご利用頂いていましたので、分解・清掃・点検を行い再使用となります。

スプリングのアッパーシートにスラストベアリングを組み込んでいます。
ハウジング内に錆が一切発生ておらず、良い状態でした。

スフェリカルアッパーの仕様には2種類ありまして。
N1とC2の設定です。
今回のタイプはC2の方ですね。
キャンバー角とキャスター角が、調整不要で良い位置にセット出来る様に設計しています。
細かな左右差を拭うならば調整式がベストですが、調整を行うにはストラットの取外しが必要になったりと何かと不都合面も考えられます。

N1はノーマルに準じて中心でマウントするのですが、C2は左右それぞれがオフセットしていて左右非対称である事が特徴です。

N1とC2では、アッパーマウントのセット位置(高さ)が異なりますので、当社オリジナルのSessAダンパーもそれぞれのマウントに合わせて寸法調整を行っています。
そのため、C2マウントにはC2ダンパーとなるわけです。

組付け後は、トップのロックナットの1/3がボディハウジング部に隠れます。


旧くなっていたタイヤも、この機会に新調しました。
この後、リヤ側も手を入れセットアップを煮詰めていきます。

サスペンション関連の作業は、好きで無いとやり込めず、やり込むには好きで無いと出来ない作業だと常々感じています。沼ですね。
Written by Hashimoto

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