アバルトMTA・テスタ接続にはノウハウが必要


2ペダルAT搭載のアバルトMTA は、整備の際に必ず必要となるクラッチシステム及び変速システムの調整作業。
この一連作業にはクセがありまして、一筋縄に完了しないものです。

MTAのシステム自体は大きく分けて2種類?定かではありませんが、年式により制御システムが異なります。

難しいのは、同じシステムを搭載していても、同じ要領では最終的に必要となる「キャリブレーション」が完了しないという事。
これが最大の難関?ですかね。
「キャリブレーションとは」
◆自動補正では賄いきれないクラッチの凝結点を微調整する事
◆クラッチを交換した際に、ECUにそのコマンドを送信する事
◆変速装置の移動・可動範囲を認識させる事
◆クラッチ・油圧機構の減圧・エア抜きを行う事
◆その他細かな交換部品についての交換済み指令を送信する事
主に上記の内容が挙げられます。
これがスムーズに進まないと、とっても厄介な事になります。

例えば、当社のオリジナルパーツ「ライトウェイト・フライホイール」をインストールした際、クラッチを変更するのですがその指令送信が行えないと、機械的には新品の厚みのクラッチディスクが組まれているにも関わらず、これまでの使用過程の厚みとECUが認識している為に、半クラの操作感に違和感が生じます。
半クラの違和感はとても不愉快でして、MT車ならば左足の加減で調整できる事が、ECUにはそれができません。
その為に「ゴンっ!」と繋がってしまうのですね。。。いやですよね。

当社では、メインで使用する診断テスタは4種類。
全て製造元が異なります。
色々と四苦八苦して気付いたのは、この車はBOSCHで調整可能だが、この車はTEXAである。
といった具合に、車に合わせたテスタを駆使する必要があります。

冒頭画像は「AUTEL」
2枚目は「BOSCH」3枚目は「TEXA」です。
ややこしいですね。

そして、テスタ使用中にもクセが存在します。
それは、施工者がやりたいことが直感的にコマンドを送信できない事。
(具体的には、クラッチ交換の指示・半クラ位置の微調整の事を示します。)
隠れているのですね。
誤ったコマンド送信を行うと、もっと厄介な事になりそうですので、それについては最新の注意を払ってキャリブレーションを行っています。

コマンドの前には、現状の数値を把握する事も大切です。
ここにもテスタの個性が存在していて、テスタによって表現方法と表示数値の単位が異なります。

慣れればなんとかなりますが、初めての施工の際はおそらく尻込みすると思います。

失敗を通じて、スキルアップになる特殊作業のひとつですかね。
日々精進を心に、努力しています。
Written by Hashimoto

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