ステムシールは案の定カチカチになっていました
プジョーRCZのPオイル下がり・オイル消費 修理


本題のステムシール交換の開始です。
各SSTをセットし、2人掛かりでの作業を行っています。

ステムシールの交換作業は、シリンダヘッドのオーバーホール時に行う内容ですが、ある程度の下準備を整えれば車上での施行が可能です。
「そもそもステムシールって?」
バルブに一体のシャフト部をステムと呼ぶのですが、ステムはガイドを介して上下にスライド摺動します。

それにより燃焼室側に露出した傘の部分の開閉が行われています。上下運動を発生させるのがカムシャフトですね。
オイル下がりとは、ステムシールが劣化する事でシール気密が低下し、ステムとガイドの間をつたってオイルが燃焼室に落ちる(下がる)現象です。
上側は潤滑が必要ですが、下側は乾いている必要があります。
傾向として、プジョー・シトロエンに搭載されている1.6ターボは、このオイル下がりが起きやすい様に思えます。

ステムシールの交換の際には、バルブスプリングを取り外す必要が有りまして、この作業が最も注意が必要です。
作業を行うシリンダーに、プラグホールから圧縮空気を入れ、燃焼室を正圧の状態に保つ事でバルブの位置関係を保持します。
圧縮空気が無ければ、バルブはピストンの上に落ちていきます。そういう構造です。

SSTを使って、バルブスプリング・リテーナを下方へ押し込みます。
そうすると、リテーナを固定するコッターというとても小さな部品を取り外せる様になります。

コッターが外れれば、スプリングを外し、そこに見えるのがステムシールです。専用工具で引っ張り上げると。

外れます。

ステムシールが無くなると、ステムとガイドが露出します。
この部分の気密を担うのがステムシールですね。

ステムシールの新旧比較。

向かって左が取り外したシール。
向かって右は新しいシール。
内径が異なります。ステムの太さに合わせて広がり、その状態で硬化しています。
ゴムが柔らかい状態であれば、伸びたり・縮んだりしますから追従性が高いという事になります。

圧縮空気の入れ方は、工場によって違いがあると思います。
当社では、ご覧のツールを用いて空気を入れています。

空気を入れれば、そのシリンダのピストンは下がろうとする力が働きます。
その時には上がろうとするシリンダが存在しますので、そのシリンダには上がり留めをセットします。

こういう工具が存在するわけでは無いので、以前に製作しました。
こういったツールにより、安心・安全に施行する事ができます。

二人がかりで新調に、組み替えを行うのですが、コッターを外す時とセットするときは息を止めています。小さなコッターを落として見失うと大変な事ですからね。
指先に神経を集中して行っています。
Written by Hashimoto

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