テンサンで学び弟分のS16は強くなった!
師弟関係を知る自動車の歩む道

自動車のブラッシュアップは、カーメーカーも行っているという話
冒頭画像はテンサンラリーのフロントブレーキキャリパです。
BENDIX製のブレーキキャリパーは、フランス車に多く用いられています。
この構造、問題・弱点がありまして
キャリパーをフローティング(浮動)させるためのスライドピン部分に泥や水分が侵入しやすく、非常に固着しやすい構造です。固着するとパッドの片減りや引きずりを起こします。また、経年劣化でピンの受け穴が摩耗すると、ブレーキを踏むたびにコトコトと「ガタつき音」が発生する原因になります。
先述のスライドピン構造は、制動力の要でもあるフロントブレーキには向いておらず、強度不足を感じるわけです。
(テンサンラリーはリヤブレーキはドラム式・S16はディスク式で、リヤはBENDIXキャリパです。)
リヤに用いるには、大きな影響はないのですが長い目で見た場合にフロントには不向きです。
キャリパブラケット部を浮動式とするため、強度が不足するという事。
後退時にブレーキを踏むと「ゴクン!」と言った音と振動がハンドルに伝わります。
リヤキャリパの様な構造は、ハードな走りには弱さを見せます。

長年ストレスに感じてきた旧式キャリパーを、弟分のs16用である ATE製キャリパーにコンバートする事となりました。

パッドの摩材面積が広く、ブラケットはダイレクトにナックルに固定されます。
中古のキャリパーですので、リビルトしてテンサンに使用します。
新しく導入した、ピストン抜き専用のツールを使ってみます。

一般的には、高圧エアーを用いてピストンを勢いよく抜き取ります。
「ポンッ!」と小気味良い音を立てて抜き取る事を連想しますが、今回用いるツールは水圧を使って抜き取る方式。

高圧ホースを接続し、ブリーダスクリュを緩めてエアー抜きを行います。
ブクブクと水面にエアーが流出します。
エアーが抜けた後に、ブリードスクリュを締め込み、そのままポンピングを続けると。

ゆっくり・じわり とピストンが抜け出てきます。
圧を掛けているのですが、エア圧と異なり均一な力をじっくりと掛けることが可能です。
最終的には、静かにピストンが抜け落ちる。というイメージです。

ポンッ!がゴロン に代わります。
しかしながら、準備に手間取る事と、水を使うので周囲に水が若干ですがこぼれる事。
使い終わった後の清掃・乾燥に手間取る事。これらがネックとなる事が分かりました。
とは言え、使わないことには良い点は見えてきません。
良い点は安全に、確実に作業を進行できる事ですね。

その後に、各部品の洗浄を行いオーバーホールを進めていきます。
キャリパの塗装も考えましたが、中途半端(缶スプレー程度)な塗装では先々きれいな状態は維持できないと判断し、塗装は行いません。
ブレーキパーツですから、そもそも汚れる。パーツクリーナを用いる場面もあり、フルードも付着する。
塗装が痛む条件しかないので、焼き付け塗装のみしかキャリパペイントには向きません。
その場だけきれいにする自己満足塗装は、仕事としてご提供するに値しませんね。
無骨なスチール素材で、仕上げに挑みます。
組み上がったS16 ATEキャリパーはテンサンに大きな安心感を齎すことに成功しました。
異音も出ず、剛性によるブレーキ操作時のタッチに違いが出ました。
もうバックのブレーキで音を出さない。テンサンで学んだ事が、後期モデルに生かされている事がよくわかる、今回の整備でした。
Written by Hashimoto













