156JTS充電回路の整備
ステージ1メンテナンスの施工


走行距離の少ない156セレスピードのメンテナンスも継続的に行っています。当社のメンテナンスの第一歩ステージ1メンテナンスはバッテリに対して流れる電気、そしてバッテリから発する電気それらの流れを適正化する為に、大切な基本整備として考えています。セレスピードシステムやデュアロジック、アバルトのMTA、アルファロメオのTCTとイタリアンなセミオートマはトルコン制御ではなくクラッチメカニズムを介してマニュアルミッションへと動力を伝達する装置です。普通ならば人が行うクラッチ操作と変速操作をアクチュエータと呼ばれるメカニズムが、電気を通じて行っています。
ですので、最低限の作動条件として電気の流れが正常である事が挙げられます。

ステージ1メンテナンスは、電気の流れに対し効く整備ですから、結果的に今回の様なセミオートマシステムにも効果が出てきます。

イタリア車に標準で使われているバッテリターミナルは、バッテリポストへの接触状況が甘く、電圧ロスを発生し易いのが難点です。消費電力の多い電気回路に繋がる経路の接続箇所は、接触抵抗から発熱していることも珍しくありません。

それらの問題個所を、適材適所で改善しより良い環境を用意していきます。
プラス側ターミナルに備わる電気の分配ボックスです。ここの状態が良くなければ、車を流れる電気全体の質が低下します。

分解を進めると、バッテリポストにクランプするターミナルが取り外せます。
ポストへの接触が甘く、またそこに繋がる配線に対しての接触も甘く、電圧ロス発生の源とも言える個所です。

真鍮色をしたターミナルは、ステージ1メンテナンスで使用する物です。ポストに対しての接触面積が大きく接触圧も高いため電気を確実に伝えていくことが可能です。

マイナス側も同様です。頼りないターミナルからアースケーブルが伸びるのですが、配線使用量を減らしコストカットをすべくターミナル~ボディ~トランスミッション と1本のケーブルで複数個所を経由し、アースを兼ねています。
理想を言えば、ターミナルから必要個所に対してアースを伸ばして行きたいところです。

今回は、各部へのアースケーブルを交換・追加を行います。
ターミナル~ボディ
ターミナル~エンジンブロック
ターミナル~トランスミッション

エンジンには様々な電気部品が取り付けられており、エンジンブロックやヘッドがアースポイントの母体となります。
最もわかりやすいのは、スパークプラグですかね。中心電極がプラス側、そしてねじ込み部がアース側です。アースが確立されていなければスパークを正常に飛ばすことができません。エンジンブロックやヘッドに対してのアースが正常であれば電気部品の作動が正常になるのは間違いないことです。

そうして引き込んだアースケーブルを交換済みのターミナルにM10の太いボルトで凝結します。

プラス側も同様に先ほどのターミナルを使用します。そのままでは分配ボックスにうまく装着はできませんので、少しの加工を施して接続・取付します。

バッテリターミナル用潤滑剤を塗布し、酸化防止を行い作業が完了です。


その後、充電回路の状態・回復を確認します。

この後はタイミングベルト交換の作業を行います。

Written by Hashimoto

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