アバルト500 サスペンションの改善・手直し・味付け修正
吊るし製品について考える


アバルト500は、様々なメンテナンスの内容でお預かりをさせて頂いています。
ご新規様のお車ですので、基本整備をステージ1メンテナンス・ステージ3メンテナンス・水回りの消耗箇所改善・タイヤ交換と続き本題のサスペンションの修理を行います。

乗り心地が悪く、異音も発し、思う様に走れない。そのような印象を感じたのが作業前の感想です。
大きな部品の交換は行わず、現在の部品を使いながらその部品の持ち味を活かせたら。そんな思いで作業に着手します。

既製品の車高調整式サスペンションが装着されていますが、まずはその状態をチェックします。
ダンパー性能については、事前に行っているSDLテストにおいて正常値を確認済みです。

タプタプに水が溜まったアッパーマウントのくぼみです。
こうなると、分解時にボルトの固着が懸念されます。サンドブラストでショットし、錆を落としてから緩めにかかります。

今回の施工内容は
*アッパーマウントをスフェリカルマウントにコンバージョン
*ロワアームブッシュをSessAオリジナルに組み換え
*アライメントの測定・調整
というのが当初の想定作業です。

まずは取り外したストラットのセッティングを測定・調査します。
アッパーマウントの取付部から、スイベルの取付寸法測定。これである程度の車高の把握が出来ます。

パッと見で気になるのが、潰れきって役目を果たしていないヘルパースプリング。まるでスペーサですね。

そして、異常なまでに縮めて組み付けられていたメインスプリング。


165→140と記載しましたが、組み付け時はおそらく170mmですので、30mm縮めた状態でした。

現在の車高を保持するためには、これだけのテンションが必要だったのでしょう。
こうなると、足の伸び方が不自然になります。

スプリングの交換をした方が良いと判断しましたので、お客様と打ち合わせを行い、変更を決定します。
オリジナルサスペンションKITに標準装着する、4キロのスプリングに変更します。自由長も変更です。

スプリングロワシートのセット位置が大きく変わりました。

ヘルパースプリングを装着する意味は無いと判断し、取り外した状態でセッティングします。
アッパーマウントは自社製品、アッパーシートはスラストベアリング入りを選択しました。
これらのセッティングは、自社製サスペンションKITの内容と同じですので、将来的にサスペンションを当社の物に交換して頂く際にも再利用が可能です。

ロワアームブッシュの組み換えも行い、今回の基本的な個所の改善が完了します。

この後、組み付けを行いサスペンションテスト~アライメント作業へと移ります。
元々の問題点が解消され、乗り心地・コーナリング性能の向上に期待が高まります。

足回りの作業について、多くの方は完成品を組み付ければそれで良い。とお考えである場合が多い様です。
おそらくDIYで組み付ける方もいらっしゃると思います。
基本知識が無ければ、良い事も・悪い事も判別がつかないのが足回りの作業です。
私が見てきたこれまでの状況では、8割程がなんらかの修正が必要な製品・作業です。
お客様の2度手間を省くためにも、全てをお任せいただける事を推奨しています。
(全てとはカウンセリング~パーツチョイスそして、組み付けに至るまでの事を意味します)

Written by Hashimoto

関連記事