TL4ミッション 3&4 ギヤ鳴りのリペア


4速ギヤへの変速時に「ジャッ」という音を伴う、シンクロ不良によるギヤ鳴り。
ギヤ鳴りはマニュアルミッションに乗る事の楽しさを削がれるストレス要因のひとつ。

原因は、シンクロ機構に問題が起きる為ですのでメカニカルリペアが必要となります。
ルーテシア3RSでは、3&4速に起きるギヤ鳴りが定番であるのが残念なトラブル事例であります。

今回、メンテナンスを進行中の個体にもその症状は発生しており、該当箇所の修理を行います。

シンクロリングがギヤ鳴りの原因である為、必要に応じて組み換えを行います。
TL4ミッションの場合、シンクロリングの素材が1&2と5&6は素材が真鍮(ブラス)であり、3&4についてはスチール素材。
スチール材にブレーキ機構を効率的に作用する為の異素材を貼り合わせているのですが、その素材に消耗が進むとギヤ鳴りが発生します。

画像は3&4のシンクロリング。
上側に置いた物が4速に組まれていたシンクロリングであり、ブレーキ用の摩材が薄くなっており、擦り減っている事が確認できます。

摩材の消耗理由については、残念ながら断言できるだけの理由は不明です。
おそらく、使用してきたオイルの質ではないかと予想しています。
問題の起きない個体は、10万キロでも症状は発生せず、問題の起きる車輛は早期に発生します。
摩材は特殊な素材である為、その素材と油質のアンマッチが生じると消耗に繋がる様に思えます。

シンクロリングとハブアッセンブリを同型ミッションの対策品に変更し、組み替えを行います。

素材はブラスシンクロとなります。
これにより、異素材の不安も拭われ、安心して使用出来る様になるという事です。

先日の同じ作業の際に製作したSSTを使って、ギヤシャフト・エンドボルトの増し締めを行います。


165Nm.での締め付け。整備書では「仮トルクでの締め付け後に1度緩めて、再度規定トルクで締め付ける」となっています。

この後はクラッチメカニズムを変更し、ミッション単体の組み立てを行い、搭載へと進めて行きます。
Written by Hashimoto

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