ASHLEY GT SPRITE 点検整備の完了です
非日常な世界をどうぞ


このスプライトをお預かりしている間、ご来店されたお客様の反応がとても良かったので、改めてお届けします。このインパネを見ても、現代の車とは真逆な世界が繰り広げられているのがよく分かります。1950年代の後半に生産が開始されたオースチン・ヒーレースプライトは、メイドイン・イングランドを象徴するブリティッシュ・ライトウェイト・スポーツカーの代名詞の様な車です。小さなエンジンに軽量ボディ、当時の価格も抑えられていて庶民的なスポーツカーとして一躍大人気な存在となったカテゴリーのファーストモデルです。この後MGブランドも後を追うように MG ミジェット MK1を世に送り出しました。個人的には、MGと聞けばやっぱり MG-B が思い浮かびますが

とにかくこの頃の車には、懐古的な魅力が多いです。私もこのところ1969年式のオールドミニ・トラベラーに久々に乗り始めて思いますが、何も無さ過ぎる事のシンプルさにつくづく酔わされています。外気温度が下がればチョークが必要であったり、カーオーディオもナビもエアコンも無い。無い物づくしの車の原点は、現代の車を扱う我が身に染みる良さがあります。

ヒストリックカーであっても、行う点検の内容は現代車両と同じです。今回はブレーキ系に不具合を起こしていましたので、最終仕上げの確認としてSDLテストによるブレーキ制動点検も行います。

サスペンションの点検も同時に行い、走る・曲がる・止まる 要素の確認に役立ちます。

何故か、当社に入庫するこのシリーズの車には ウェーバー・キャブレタが装着されている事が多く、う~ん絶対にSUツインの方がエンジンには合っているのに..と思っています。自分も昔はミニのOHVにウェーバーを付けたがっていたのですが、今思うと異なる意見が生まれてくるものです。ツインカムな高回転エンジンにはウェーバーが気持ち良くマッチしますが、OHVのA型ユニットには優しく、そしてエンジンの仕様によっては官能的な回り方を魅せるSUツインに軍配が上がります。そう言う私の今の車は、1/4 のシングルSUです。なんのこっちゃですね。そのチープさと欲の無さがトラベラーの性格にはピッタリかな?と色々試してきてそこに行き着きました。

スプライトMK1の本来のフェイスでは無くスポーティなマスクを纏うのは、この車が ASHLEY と言う当時のカスタマイズボディを纏った車だからです。低く抑えられたノーズ、伸びやかなテールエンドにより、なかなかレアな姿に変貌しています。


まさにGTromanな世界ですね。カッコイイです。荒々しいアイドリングの状態から、カムシャフトのオーバーラップが大きい事が直ぐさま分かるのも素敵です。OHVでオーバーラップが大きくなると排気圧力が上がり迫力のサウンドを奏でます。

末永く楽しんで頂きたい車のひとつです。

Written by Hashimoto

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