フィアット500 理にかなった小さな加工を施しました


デュアロジック機構の整備の為にフィアット500 ツインエアーをお預かりさせて頂いています。

アクチュエータ本体の作動不良が起き、本体を交換します。
新品のアクチュエータには、これまで弱かった部位などが対策を施され進化している事が特徴です。

今回はアクチュエータ交換へのスポットでは無く、その周辺部品についてです。

何度かご紹介をしています、クラッチレリーズレバーです。
クラッチ操作に伴い、このレバーが往復運動を繰り返します。
鋳物素材で、強度的な不足は無いのですが摩擦消耗には弱い箇所です。

今回の車両の走行距離は6万キロ台ですが、ゴーストップの多い使用過程からか思った以上の摩耗消耗が確認出来ました。
新しいパーツの窪み部の深さは約3.8mm。

3.8mmに対して、取り外した部品の窪み寸法は5.8mmです。沢山減っています。

さらに、アクチュエータ側で該当部分を操作する箇所も消耗が激しかったです。


本来は綺麗な球面形状なのですが、すり減ってしまいガタガタでした。
双方がこの状態では、デュアロジックシステムのECUが行う演算が上手くいかず、クラッチの操作にぎこちなさが生じます。

こちらが新しいアクチュエータの同じ個所の画像です。

定期的な潤滑が出来れば、消耗は防ぐことが出来るはず。
そんな期待を込めて、アナログですがグリスニップルを装着しました。

グリスニップルのネジ部径は6.5mmほどありますので、ネジ穴加工に際して基本の穴を開ける必要があります。

M5の穴を先ずは空けるのですが、摺動面までをM5で掘るとなんとなくですが良く無いと思い、摺動面側は極細の穴加工を施します。

ピンホールの様な穴から、グリスが出てくる事を確認し、組付けます。


組付け後は、分解を行わずに給油が可能になりました。

これで長持ちしてくれると良いですね。

グリスニップルは、60年代頃の車には当たり前の様に色々な個所に装備されていました。
いつからかその姿を消し、重機やトラック、工業製品の部品として扱われる様に。
普通車にもグリスニップルを!そんな思いを最近は色々な個所に対して抱いています。

Written by Hashimoto

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