アルファロメオ 4C アライメント作業 

今回は、ブレーキパッド交換を行った4Cに、当社の得意とする 4輪トータルアライメント 作業を施工しました。

アライメント作業を始めて行う車輌の場合、当社としてのデータノウハウが蓄積されていませんので、苦戦します。
まずは、当社の基本に忠実なアライメント作業を施してみたいと思います。

4輪アライメントの作業は、機材さえあれば同じ結果が得られるのでは無く、車輌それぞれに異なるクセや
メーカー固有の設定値それらを理解して、日本の道路事情・お客様の使用過程に合った最終調整値にする事で
アライメント作業本来の意味を成すものとなります。
ですから、アライメント作業はお客様のニーズに合ったお店選びをするという事も重要なのですね~。

それでは、4Cのアライメントはどうなったのでしょうか。
まずは、サスペンションの特性からチェックしていきましょう。
毎度の事ですが、BOSCH SDLテストによるサスペンションテストです。
CIMG1363

SDLテストは、入庫車輌全車において、チェックしています。
リフトアップよりも前にこのテストを行う事が多いです。
SDLにより、サスペンションの状態や、サイドスリップ値・ブレーキシステムの不具合など、目視の前に
より具体的な結果を数値化する事が可能です。
事前にある程度車の基本特性を知る事で、後の試運転やリストアップ時に注意深く診るべき点なども絞る事が可能です。

リフトアップし、タイヤ全数の内部エアーを窒素ガスに入れ替えます。
その後、適正空気圧に調整し、アライメント作業がスタートします。
窒素ガスは、当社ではプライスレスでチャージしています。
当社で封入した窒素ガスのその後のメンテナンスも、もちろんプライスレスで封入しています。
窒素ガスは、タイヤ内部を傷めないという最大のメリットがある事をご存知でしょうか?
お客様が普段目にする事の出来ない部分だからこそ、徹底管理をさせて頂けるひとつの手段でもあります。
CIMG1774

以下に示すのが、測定開始時(調整前)のアライメントデータです。
ご覧の通り、赤色表示されている箇所が多いですね。
赤色=基準値外を意味します。
アライメント開始時
この数値の中で特記すべき点は、
フロントのトー値及びその左右差・そしてリヤのトー値と左右差
と、その周囲の各部の左右差ですね。
元々の設定値が、前輪駆動の車輌とは大きく異なっているのが特徴的です。
リヤのトー値は、前輪駆動の場合は大きく変化を付けたいところですが、後輪駆動かつリヤエンジンなので極端な変化を
付けるのは危険を伴います。

各部の調整に入る前に、まずはブッシュのストレス抜きを行いましょう。
ストレス抜きとは、1G状態(車輌重量が掛かり、地面に接地した状態)で連結部の凝結ボルトを緩めます。
そうする事で、サスペンションのアーム類の角度がリセットされ、ブッシュに与えられた無理な力が抜けます。
組み付け状態によっては、この作業によりタイヤの向く方向に、大きな変化が現れる事もあります。
4Cはどうなのでしょう。
CIMG1793 CIMG1794
4Cのサスペンションは、ストレス抜きの対象となる場所が沢山あります。
それらをどんどん行うにつれて、アライメントテスタの画面表記がみるみる変化してきました。

次の画像は、ストレス抜きを終えた状態の測定値です。
先ほどの画面と見比べると、さらに赤色表記が増えました。
アライメントストレス抜き
分かりますか?
リヤのトー値の大きな違いに注目です。
元々、トーインであったところがトーアウトになっています。
フロント側は、トータル・トーの値は然程動いていない様にも見えますが、実は左右の差が酷い事になっています。
ストレス抜き恐るべし。

このストレス抜きを行った後に、本来の調整作業を開始します。
CIMG2215 CIMG2219
調整箇所が豊富なのは、流石はリアルスポーツカーです。
偏芯ボルト式の部分や、シム式の部分、あらゆる箇所が調整可能です。

そして、最終的な調整値は、こうなりました。
アライメント最終
フロントのトーアウト・リヤのトーイン特性はそのままに、全体的に転がり抵抗を減らし、ハンドリングに直結し、かつ危険では無い
そんなイメージを描いたアライメントデータにしてみました。

絶対数の多い車種では無い為、本当のノウハウ蓄積には多くの台数を施工する必要がありますが、4C固有の
改善点は数多く存在する事が分かりました。

関連記事